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こんな人にオススメ
・ハラハラしたい
・心理描写を楽しみたい
・クローズドサークル物が好き



あらすじ・内容
9人のうち、死んでいいのは誰か?
死ぬべきなのは誰なのか?
大学時代の友達と従兄と一緒に山奥の
地下建築を訪れた柊一は、偶然出会った
三人家族とともに地下建築の中で
一晩を過ごすことになった
翌日の明け方、地震が発生し扉が岩で
ふさがれてしまう
さらに地盤に異変が起き、水が流入し
はじめ、いずれ地下建築は水没する
そんな矢先に殺人事件が起こった
誰か一人を犠牲にすれば脱出できる
生贄には、その犯人がなるべきだ
──犯人以外の全員がそう思った
タイムリミットまでおよそ1週間
それまでに、殺人犯は見つかるのか!?
本屋大賞受賞作



    


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ネタバレ・感想
めちゃくちゃ面白かったd=(^o^)=b
怪しげな地下建築でのクローズドサークル
迫るタイムリミットの中での犯人探し
犯人を見つけ犠牲すれば、残りの人間は
生き残ることができるという設定
序盤から物語に引き込まれて一気読み



【主人公】
越野柊一・・・システムエンジニア

【探偵役】
篠田翔太郎・・柊一の3歳年上の従兄

【大学時代のサークルメンバー】
西村裕哉・・・アパレル系、今回の発起人
野内さやか・・ヨガ教室の受付
高津花・・・・事務員
絲山隆平・・・ジムのインストラクター
絲山麻衣・・・隆平の妻、幼稚園の先生

【矢崎家】
矢崎幸太郎・・電気工事士
矢崎弘子・・・幸太郎の妻
矢崎隼人・・・息子、高校1年生


登場人物はみんな怪しかった
翔太郎は頭はキレるが胡散臭い
絲山夫婦や矢崎家も何かある(  ¬ ω ¬  )
しかも、浸水が始まりタイムリミット
まで約1週間しかない
極限状態での犯人探しにハラハラした


そんな中で第一の殺人が起きる
裕哉が何者かに絞殺される
みんな実行可能で犯人はわからないし
犯行の動機もわからない
裕哉が今回の発起人でみんなに迷惑を
掛けているので殺さなくても犠牲になる
可能性は高かった
それなのに殺す意味がわからい
大学時代に何かあったのか?
この時点では犯人は絞りきれなかった


次に第二の殺人でさやかが殺される
しかも、死体には首がない
もう犯人怖すぎる((( ;゚Д゚)))
なぜリスクを犯してまで首を切ったのか?
誰かが別の人物が潜んでいて入れ替わる
為かと考えたが入れ替わる意味がない
ここまで読んでも犯人はわからない
結構な重労働なので犯人は男か?


そして、第三の殺人では矢崎父が
水没した地下の部屋で殺される
犯人を待ち伏せしていたが冷たい水中
で体力を削られ犯人に抵抗できなかった
ここまで読んで犯人は隆平と推理した
しかし、動機は全くわからない


探偵役の翔太郎の推理によって
テープの存在を知らない人物が犯人
容疑者は隆平と麻衣に絞られる
そして、スマホに防水機能が無い
麻衣が犯人だと判明する
(防水機能があっても、念のためスマホ
を防水袋に入れともおかしくないし
これで犯人を決めるのは強引な気が……)
麻衣はあっさり犯行を認める
犠牲にならないといけないのに
取り乱した様子は一切なかった
ここに違和感を感じた
動機も今一つしっくりこない


このままでは終わりないと思ったが
エピローグで明らかになる真相に驚いた
麻衣が犠牲になり方舟に残ることになり
他の者たちは地上へ向かっていく
そこに、麻衣から柊一へトランシーバー
アプリを利用した着信がある


そこで麻衣が発した言葉が衝撃だった
死ぬのは私ではなく柊一くんたち…
麻衣はモニターに映る出入口と非常口
の映像を入れ替えていた!!
つまり、出入口は塞がっているので
柊一たちは外に出ることは出来ない
麻衣は地下3階にから脱出可能
出入口が塞がったことを一番に知った
麻衣は自身が助かる為に行動していた


裕哉を殺した動機
→モニターの入れ替えに気付くから
 (酸素ボンベの取合いになれば力では
 男性には勝てないから)

さやかを殺した動機
→スマホにモニターの写真があったから
 (顔認証をできないように首を切った)

矢崎父を殺した動機
→酸素ボンベを使っていたから
 (脱出時に酸素が不足しない為)


麻衣は方舟に残りたかったので
“犯人”である事を隠す必要はなかった
感じた違和感が解消されスッキリした
全ての行動にしっかり理由があって
伏線をキレイに回収するのは見事
麻衣の生きる事への執念は凄まじく
一番冷静に状況を判断し決断していた


もし、自分が麻衣の立場だったら
どのように行動しただろうか?
麻衣と同じようにモニター画面を
逆にして、その後にコードを壊して
画面を写らなくする
そして地下3階も調べたいと言い
ハーネスを堂々と作り脱出する
大学時代の友達を殺すのは無理だなー
(もちろん脱出後に助け呼びに行く)


出入口が塞がれてる事実をみんなに
教えただろうか?
教えた場合、話し合いで脱出者を決める
果たして、脱出者が助けを呼びに行って
タイムリミットに間に合うのか?
そもそも極限状態にあるのでパニック
になり建設的な話し合いができるのか?
どう展開する全く予測できない
酸素ボンベを奪い合うことになり
もっと悲惨な状況になる恐れもある
麻衣と同様に教えなかったかもしれない


そして、柊一の立場だったらどう
行動していただろうか?
あの状況では麻衣にはついて行けない
いくら麻衣に惹かれ始めたとはいえ
殺人犯と一緒には残れない
同じように出入口を目指していた


タイトルも伏線になっていた
もちろん、ノアの方舟からきている
旧約聖書に記されている伝承で
大洪水によって地上の全ての生物が
滅ぼされる中、神の指示に従って
ノアが建造した巨大な船を建造する
その方舟に世界中の生物を1対ずつ
乗せて洪水から逃れたという話
ここの事から男女二人だけが助かると
推理したが違っていた( 。゚Д゚。)


伏線の回収も見事でスッキリした
・“方舟”というタイトル
・スマホのトランシーバーアプリ
・モニターの画面
・スマホの防水機能
・不可解な動機

エピローグのどんでん返しは痺れた
麻衣が本当に怖かった((( ;゚Д゚)))
先の展開が気になって一気読みだった
TwitterなどSNSで話題になったのも
わかるし本当に面白かった
今後の麻衣がどうなるか気になる
もう既に続編が読みたい(笑)
大満足でオススメの1冊でした

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こんな人にオススメ
・一気読みしたい
・難しいテーマが好き‌
・考えさせられる本を読みたい



あらすじ・内容
息子が不登校になった検事・啓喜
初めての恋に気づく女子大生・八重子
ひとつの秘密を抱える契約社員・夏月
ある事故死をきっかけに、それぞれの
人生が重なり始める
だがその繋がりは“多様性を尊重する時代”
にとってひどく不都合なものだった
あってはならない感情なんてない
それはつまり、いてはいけない人間なんて
この世にはいないということだ
共感を呼ぶ傑作か?問題作か?
読む前の自分には戻れない気迫の長編
2022年本屋大賞5位



    


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ネタバレ・感想
考えさせられる作品だった
読後はしばらく放心状態だった
三大欲求のうち“性欲”をテーマにして
タイトルでもある“正欲”について
登場人物たちが悩む姿が描かれている
正しい欲とは何か?人それぞれ好みや
価値観があるので本当に難しい
そもそも「正しい」とは何なのか?


本作は“多様性”を認め合おうという
風潮に一石を投じる作品になっている
マジョリティ(社会的多数派)であれば
正しくマイノリティ(社会的少数派)なら
おかしいという現代社会
そもそも、この“多様性”を認めようと
いう風潮がマジョリティになっていて
マジョリティだから正しいという考え
は怖いと思った
「みんな違って、みんないい」という
考えも便利過ぎて、あたかもそれが
正しいと思い込まされていて
深く考える事をしなくなってしまう
この考えが正しいか間違っているか
が問題ではなく、この「考えなくなる」
事が問題だと思い知らされた


とても便利な“多様性”という言葉は
マジョリティ側が一方的に思うだけで
マイノリティ中のマイノリティ側の
考える“多様性”とは大きな差があった

作中の大也の言葉
「自分が想像できる“多様性”だけ
礼賛して、秩序整えた気になって
そりゃ気持ちいいよな──」

これがマイノリティ側の苦しみで
多様性がある社会=生きやすい
という概念が壊された


そして、表紙についての考察
鴨はスピリチュアル的に「呪縛からの解放」
を意味すると言われている
足かせは社会での生きづらさを表す
また、この鴨は飛んでいるのではない
落下しているようにも見えるし
海深くに沈んでのようにも見える
つまり、呪縛から解放されたいと
思いながらも社会的に死んでいる
苦悩を抱えたマイノリティを示していた
「正解」がないので考えれば考えるほど
深い闇の中に落ちていく様を表現している


言葉にできない心の叫びや考えを
鋭く痛烈に描いた作者は凄いと思った
“多様性”を受けいれようと口にしながらも
実際には受け入れていないマジョリティ
自身の浅はかな正義感を“多様性”という
言葉で粉々にされる衝撃があった
読んでいる間は体におもりや足かせ
を付けられているようで苦しかった
モヤモヤするし答えは出ない
読後は読む前の自分には戻れないし
簡単に“多様性”という言葉は使えない
面白くてオススメと言えないが
読んで良かった思える1冊でした

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こんな人にオススメ
・騙されたい
・ハラハラしたい
・心理描写を楽しみたい



あらすじ・内容
かつて乙霧村で戸川稔ていう男に一家五人
が殺されるという凄惨な事件が起きた
あれから二十二年──この事件を題材に
『乙霧村の惨劇』という作品を書いた泉蓮
が顧問を務める文学サークルのメンバー
六人が、この村を訪ねる
事件当時と同じ豪雨の中、彼らは斧を
持った大男に襲われた
閉ざされた集落で一体何が起きたのか!?
戦慄のホラー・サスペンス!



   



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ネタバレ・感想
二部構成になっており第一部は緊迫感
が凄まじくハラハラしっぱなしだった
閉ざされた集落でのクローズドサークル
加えてジェイソンばりのスプレッター
大雨の中で視界が悪く不気味過ぎる
斧を持った大男が怖かった((( ;゚Д゚)))


22年前の大量殺人がどう関わるのか?
大学生のうち誰かが関係者なのか?
純や玲美はチャラチャラしてるだけだし
哲夫の上から目線はうざかった
怪しいのは浩樹と昌枝(  ¬ ω ¬  )


読み進めると犯人は乙霧村事件の
生き残りだった英一だった!
ふざけた大学生たちを脅かそう
とする気持ちは理解できた


第二部は主人公の友里が乙霧村を訪れた
サークルメンバーから話を聞いて回る
解決編になっている
実は誰も死んでいなかったという
拍子抜けの展開だったが、浩樹が大学に
存在しない人物と分かり物語は加速する
友里は消息不明だった浩樹にアプローチ
を掛け面談に成功する
事件の真相が次第に明らかになる中で
浩樹の正体が判明する

浩樹は戸川稔の隠し子だった!

英一と協力してふざけている大学生を
怖がらせお灸を据えることが目的だった
巧みに学生を操り旅行に誘導していた


真相が分かり一件落着かと思いきや
驚くべき事実が……
友里は泉教授の奥さんだった!!
しかも、年齢は49歳( 。゚Д゚。)
大学4年生で落ち着いているとは思ったが
これは見抜けなかった
サークルのメンバーと距離があったし
運動神経悪いし、LINEしないし
序盤に4年なのに就活する必要はない
としっかり書かれていた(・・;)))
伏線はたくさんあったのに……
大学生=若者という固定概念にやられた
そして、この表紙とタイトルなのに
人が一人も死んでいない(笑)
ホラーも怖かったが、人間の裏の顔や
ブラックな部分的も怖かった
第一部はホラー、第二部はミステリー
サスペンス要素もあり満足な1冊でした!

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