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こんな人にオススメ
・どんでん返しが好き
・ミステリーが読みたい
・心理描写を楽しみたい


あらすじ・内容
大手製薬会社の藤井賢一は不祥事の
責任を取らされ関連会社に飛ばされる
単身赴任で鬱屈とした日々を送る中で
東京で娘と母と暮らしている妻から
不可能なメールが届いた
〈家の中でトラブルがありました〉
数時間後、妻の倫子を殺人容疑で逮捕した
と警察から知らせが入る
殺した相手は本社の常務だった
一体何が起こっているのか?
絶望の果ての真相が胸に迫るミステリー!


 


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ネタバレ・感想
伊岡作品は代償の時にも感じたが
家族の絆や愛を描くのが上手い
心理描写が丁寧で感情移入してしまう
その為、物語に引き込まれ一気読み


本作は単身赴任中に妻が本社の常務を
殺害するという衝撃から幕が開ける

・本当に妻が殺人を犯したのか?
・なぜ本社の常務が殺されたのか?
・動機は何なのか?

ミステリー要素が多くて楽しめた
妻を信じたい夫と何かを隠している妻
妻の倫子は殺してないと推理し読み進めた
主人公の賢一は本社に戻る事を願うが
つらい事ばかりで上手くいかない

・出向先の上司にいびられる
・家族にはなぜか電話も拒否される
・妻は殺害事件を起こす
・不倫妊娠堕胎
・反抗期の娘と認知症の母

最悪の状況を打破する為に行動する賢一
中盤までは何も分からず右往左往するが
倫子の妹・優子の助けを借りながら
少しずつ真相に近づいていく


終盤は二転三転しながら真相解明していく
さらに読み進めると・・・ 

・妻の殺人容疑
→優子の犯行をかばっていた

・不倫妊娠堕胎
→優子が倫子を落とし入れる為に実行
 (倫子の保険証を使い産婦人科へ)
 

姉妹の確執(優子側だけ)が深く絡んでいた
もらわれっ子症候群や身代わりの伏線回収
は見事で良く作り込まれた作品だった 


ラストシーンではどんでん返しもあった
もらわれっ子症候群を気にしていた優子
実際に両親の子供ではないという真相かと
思いきや・・・・



優子は両親と血の繋がった本当の子で
倫子が母と浮気相手の子だった!



この真相は予測できず驚いた!
父親は倫子にやさしく優子に厳しかった
それを優子は勘違いし自分が本当の子供
じゃないと感じ、倫子を僻んでいた
もし、優子がこの事実を知っていたら
展開は変わっていただろう


ただ、深読みすれば倫子は作中で
「私は不倫の末にできた子供、でもその事
は優子には今後も多分言わない」
と発言していたのは疑問を感じた
本当に不倫の末に出来た子供なのか?
不倫で出来た子に倫子と名付けるのか?
優子の事を考えるなら言った方が良いし
やはり優子が不倫の末の子供で
倫子は優子をかばって嘘をついている
と考えると全てがしっくりくる

他に考察するなら
“倫子も優子も本当の子供ではない説”
ならば、さらに驚きのどんでん返し
(倫子が真相を優子に伝えないように
母も倫子に伝えていない)
↑流石に深読みしすぎ(笑)



賢一は頼りなく感じる事はあったが
妻が殺人容疑で逮捕されなら気が動転
するだろうしリアリティがあった
文書が読みやすく話の展開も良かった
賢一、倫子、優子それぞれに感情移入
して作品を楽しむ事ができた


ミステリーかつ家族の絆がテーマの作品
家族を愛する事、何があろうが信じる事
この家族の絆が本当に試されるのは
大きなトラブルや事件が起きた時だろう
(こんな事件が実際に起きたら嫌すぎるが)
家族だから優しさや愛がある
だからこそ、すれ違いが大きければ
怒りや妬みなどが起こってしまう
相手を信じる事は大切だと実感した
家族の“絆”を考えされられる作品でした
複雑に絡む糸と伏線回収にどんでん返し
とても面白く満足な1冊でした!

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