fresh-green-3438048__480



こんな人にオススメ
・心理戦が好き
・一気読みしたい
・どんでん返しが好き


あらすじ・内容
舞台はアパートの一室
別々の道を歩む事が決まった男女が
最後の夜を徹して語り合う
初夏の風、木々の匂い、大きな柱時計
そしてあの男の後ろ姿・・・
共有した過去の風景に少しずつ違和感
が混じり始める
濃密な心理戦の果てに、朝日と共に
訪れる信実とは!
不思議な胸騒ぎと開放感が満ちる一冊





-------------------


ネタバレ・感想
アパートの一室を舞台にした心理戦
高橋千浩と藤本千明の語り手で展開する
序盤では二人の関係性は分からず
おそらく恋人同士と想像しなが読み進めた


注目すべき点はお互いに相手が
殺人事件の犯人と思っている事!
その確信を得る為に心理戦を繰り広げる
犯人はどちらかなのか?事故なのか?
二人の関係は何なのか?
先の展開が気になり一気読み


読み進めと二人の関係は双子だった
(3歳まで一緒に暮らしていたが
経済的な理由で別れて生活していた)
そして、偶然大学で出会い、惹かれ合い
兄妹と分かった後に同棲を開始する


いくら血が繋がっている兄妹とはいえ
ずっと別々に暮らしていた者同士が
同棲するのは危ない感じが・・・
もちろん千明の彼氏は嫉妬します


心理戦の原因になるのは1年前の登山
偶然にも父親が二人の山岳ガイド担当に
(ほとんど合っていないので二人の事
を自分の子供だと分かっていない)

三人で登山するが、別行動していた
休憩中に父親が崖から落ち死亡
千浩と千明はお互いに相手が殺人犯と推測
二人の駆け引きや考察は面白かった


心理戦や繰り広げ、考察を続けていくと
幼い頃の二人の記憶に違和感が生じる
それは母の実家の大時計の記憶

・千浩はしっかり覚えている
・千明は全く覚えていない

大時計はかなり目立っていて
その記憶が無いのは明らかにおかしい
この違和感から千明は隠されていた信実を
発見し驚愕します・・・




千明は千明では無く
なんと、美雪だったΣ( ̄□ ̄)!?




美雪→母の妹の子
千明→母の子

本当の千明は幼い頃に事故で死んでいた
千明を養子に出す事が決まっていたが

不運な事故により出来なくなってしまう
母の妹も経済的に苦しかったので
美雪を千明の身代わりにしていた!!
千浩と千明(美雪)は一緒に暮らして
無かったため千明(美雪)には大時計の
記憶が無かった


と言うことは、千浩と千明(美雪)は
いとこ同士だった


双子だからと、お互いに惹かれながらも
好きになってはいけないと考えていた
禁断の愛では無くなっていた
そして、逆に二人は冷めてしまいす


父をどちらが殺したかのミステリーは
どうでもよく(真相は本作では分からない)
いつの間にか二人の恋愛が焦点になる


ラストシーン千明は相手は恋人の雄二
に電話をかけ、千浩に見切りを付ける
(ナイフを埋めた事からも分かる)


本作も恩田陸ワールド全開で
不思議な世界観を体験されてくれます
ミステリー、恋愛、どんでん返し
一気読み必至で満足な1冊でした!

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ