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こんな人にオススメ
・一気読みしたい
・ドロドロした話が読みたい
・巧みに構成された話が好き


あらすじ・内容
別居中の妻の潜伏先を察知した男が
対応に出た姉を撲殺した──
単純な事件と思われたが犯人は目撃されず
被害者の夫には別の家庭があった
数日後に男は出頭するが思わぬ展開に
強欲と憤怒に目がくららむ人間たち
因業に満ちた世界を描いた傑作ミステリー





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ネタバレ・感想
「鬼畜の家」が有名な深木章子
本作も元弁護士だけあって構成が凄い
読ませる力があり面白かった


プロローグ
廣田の殺人
楠原家の殺人
鷹尾家の殺人
衣更月家の一族
エピローグ


廣田の殺人まで読んだところで
これは短編集なのか?と錯覚した
プロローグが無ければ勘違いしてしまう

他の殺人事件とどう交わるのか?
全てが作者の仕掛けだった



廣田の殺人では“目撃者がいない
状況証拠からどんどん展開していく
春菜の夫・弘毅の指紋が凶器となった
花瓶から検出された事もあり弘毅が
容疑者とされた
そして、事件から数日後に出頭する


優子は夫を恨んでいた
→優子が凶器の包丁を購入
→弘毅を夫と間違い殺害を試みる
→弘毅の反撃により殺害される
→数日後に弘毅が出頭する


優子が死んでいるので真相は分からない
ただ、違和感が残る結末だった
刃物専門店で包丁を買ったのは優子か?
忘れ物の電話を掛けるのも怪しい
春菜が弘毅と協力して事件を起こしたと
推理したが動機が分からなかった



楠原家の殺人も面白かった
宝くじで当てた3億円を手にする為に
楠原になり代わったマンタだったが
何者かに殺されてしまう
残された麻貴はどうなるのか?
終盤で公衆電話から脅しの電話を
かけてきたのは誰なのか?
裁判まで起こしていた笹塚か?
先の展開が気になる終わり方だった



鷹尾家の殺人は耕介が切なかった
母親がいれば展開は違っていただろう
プー太郎にならなかっただろうし
両親を突き落として殺してないし
悪徳行為をする事はなかった
完全に歯車が狂ってしまった



衣更月家の一族は回答編になっている
これまでの殺人事件がどう繋がるのか?
衣更月家が絡んでいるのはタイトルから
想像はできるがどう関わっているのか?
読み進めると・・・・・





なんと!
全てが衣更月家の一族の事件
つまり、親戚間の醜い争いだった!
黒幕は春菜で全てを仕組んでいた
計算高く恐ろしい女だった((((゜д゜;))))


一つ一つの話自体はモヤモヤ感が残るが
それがパズルのピースのようにキレイに
そろっていく構成は圧巻だった
人間の欲や渦巻く醜い感情があらわに
なる様子はゾワゾワした
人間が持っているダークな感情は怖いが
どこか惹きつけられる魅力があった


終盤のシーンで金に執着する春菜と
全く興味のない耕介の対比も印象的だった
笹塚の金に対する執着もあったし
金には人間を狂わせる魔物がいた


各殺人事件にサスペンス要素があり
伏線の回収もしっかりしていた
登場人物は複雑で少し混乱したが

終盤の家系図があったので良かった(笑)
探偵榊原の謎解きが見事だった
今後の榊原の活躍にも期待したい
読み応えがあり楽した一冊でした

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