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こんな人にオススメ
・騙されたい
・乾くるみ作品が好き
・恋愛ミステリーが読みたい


あらすじ・内容
会社の先輩から誘われたスキー旅行で
春香と出会い、やがて付き合い出した
僕たちは幸せだった──。
しかし、春香とそっくりな女・美奈子が
現れ事態は一変する
清楚な春香と大胆な美奈子
対照的な二人の間で揺れ動く心
「イニシエーション・ラブ」に続く
二度読み必至の恋愛ミステリー!



    


――――――――――――――――――――――


ネタバレ・感想
正明は清楚な春香と交際始めるが
彼女そっくりの双子の妹・美奈子と
出会い二人の間で恋は揺れ動く
「イニシエーション・ラブ」と同様に
二度読み必至の仕掛けがあった


まず、美奈子の正体は誰なのか?
春香が一人二役を演じており
春香=美奈子はすぐにわかった
正明はホクロや免許証だけで騙され
怪しいと思いながらも信じてしまう
正明がいい人過ぎる(;´д`)


次に序章の結婚式のシーン
普通に読めば新婦は春香で新郎は正明
しかし、新郎の名前が書かれていない
これが重要な伏線になっていた!
正明を新郎と考えると違和感がある
何故か嬉そうな様子には見えない
新郎側の来賓席からハラモク工業の
社員の誰かとは考えられる
結婚式のスピーチからスキーに行った
メンバーなので正明か紀藤の二択

一緒にスキーに行くほど
新婦と仲が良かった女性も、
新郎と仲が良かった男性も、
披露宴には招かれていない

果たして正明か?紀藤か?
語り手の正明が披露宴にいるから
新郎=正明と思い込み読み進めた
ここで完全にミスリードされました


そして、終盤ではどんでん返しあり
空港で春香といるのは紀藤だった!!
正明と結婚したハズなのに!?
ラスト4行でさらに衝撃が走るΣ(;゚∀゚)ノ

“正明は窓ガラスの外から内に移動した。
ガラスを通り抜けた瞬間、
春香の表情が変わるのが見えた。
やっぱり「見えて」いるんだ。
ごめんね。ずっと嘘だと思ってた。”

一瞬、ガラスを通り抜けるの意味が
分からず混乱した(笑)
人間がガラスを通り抜けるのは不可能
つまり、正明は幽霊だった!
霊感のある春香には正明が見えていた
このオチは予測できなかった


正明が幽霊と分かった上で序章を再読
披露宴での新郎は正明ではなく紀藤
(正明は幽霊として眺めていた)

新婦と仲の良かった女性(尚美)
→彼氏を春香に寝取られている

新郎と仲の良かった男性(正明)
→春香にフラれ自殺している

そりゃー結婚式に呼べる訳がない
序章は伏線だらけで面白かった
特に“今は直接話しかけることが
できないので”という書き方は上手い
最初読んだ時は春香がお色直しで
席を外しているからと思っていたが
実際には正明は幽霊だから話せない


春香は美人で魅力的な女性だか
何を考えているか分からず怖い
男を二人自殺に追い込む悪女だし
正明が見える状態で結婚式をする
春香の神経も凄いと思った

さらに深読みしていけば
春香は本当に春香なのか?
本当は“美奈子”なのではないか?

美奈子の免許証の有効期限は昭和60年
色は青なので3年前に更新している
→3年前は事故で大怪我をしている為
 免許更新ができない

免許更新をしたのが美奈子本人なら
「シェリール」のミナは「美奈子」
つまり、美奈子が春香を演じていた!
春香が美奈子演じる理由は無いが
美奈子が春香を演じる理由はある
“新婦の正体”こそが最大の嘘で
美奈子が一人二役を演じていたと
仮定すると物語がしっくりくる


最後に解説にもあったオマケネタ
名前がアナグラムになっている

内田春香(UTIDAHARUKA)
→宇多田ヒカル(UTADAHIKARU)

半井美奈子(NAKARAIMINAKO)
→中森明菜(NAKAMORIAKINA)

これは遊び心があって面白かった
春香と紀藤が結婚した結末で締めたが
春香の正体については描かれていない
読者の考察に委ねる終わり方だった
深読みして楽しむ事ができた
タロットシリーズの天童も出てきたし
一気読み&読み返し必至の作品でした!

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