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こんな人にオススメ
・一気読みしたい
・ハラハラしたい
・歪な愛の話が好き



あらすじ・内面
瑞帆の前に現れた3人の男──。
1人は、ある時期、彼女の中心だった
だが、いつしか憎しみに変わり
口論の末に殺してしまう
発覚を恐れた瑞帆だったが、一向に
殺人は露呈しない
そのことに戸惑う中で知人の紹介で
知り合った男と交際を重ねていき
やがて子供を授かる
もう1人は、純粋さの果てに歪な愛を
向けてきた……。
彼らは瑞帆に何をもたらしたのか?
恋愛の“業”を描き出す戦慄の長編!



     



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ネタバレ・感想
出版禁止」や「放送禁止」の禁止シリーズ
で今回は“恋愛”禁止になっている
禁止シリーズはアナグラムや仕掛けが
隠されている事が多いので構えながら
読み進めた
仕掛けや謎は禁止シリーズの割には
少なかったが先の展開が気になって
一気読みだった



主人公の木村瑞帆は男運がない
変わった男に異常に愛される
瑞帆を愛したのは3人の男たちだった


・倉島
高校時代の教師で学生の時から付き合う
別れた後はストーカーになる
教師でありながら複数の生徒に手を出す
瑞帆にナイフで殺される


・郷田(believer)
瑞帆を愛しすぎて言動がおかしい
瑞帆が殺した倉島の遺体を隠蔽する
秘密を探る武藤を殺害する


・慎也
瑞帆の夫で唯一まともな人間
瑞帆の闇の部分に魅力を感じている
何かを瑞帆に隠している様子


作中で気になった点が3つあった
深読みしながら考察してみると
まず、believerから送られてくる
ショートメールに違和感があった
親愛なる“木村瑞帆様”と親愛なる“瑞帆様”
の2通りがある点が引っ掛かる
“木村瑞帆様”の方は郷田で間違いない
“瑞帆様”の方は郷田ではない気がする
believerは2人いたのではないか?
考えられるのは上司の徳島
「困ったことがあったら何でも相談して。
僕はいつでも君のことを応援しているから」
これは部下を思う上司の発言でおかしくは
ないが、郷田臭がする(((・・;)

郷田が瑞帆の電話番号を不動産に
聞いたと言っていたがこのご時世に
社員のプライベート電話番号を客に
教えるのはおかしいし、徳島と郷田が
繋がっていたと考えればしっくりくる
believer同盟を組んでいたのだろうか?


2つ目は慎也は何を隠していたのか?
瑞帆に言い掛けていた事は何か?
瑞帆が殺害を犯した後の雰囲気が
魅力的だった事が考えられるが
それなら勿体ぶらず言うだろう
引っ張る意味がない
瑞帆のストーカーから異常に愛される体質
から慎也もストーカーだった可能性がある

「あのさ……、実は俺……」に続く言葉は
「全てを知っているんだ」だろう
全てを知っているからこそ何も言う
ことができなかったと考えられる



3つめに本作を書いている研究者は誰か?
深く瑞帆に関わったとある
倉島は殺害され、郷田は逮捕されている
残ったのは慎也しかいない
慎也は本来、研究対象の瑞帆とは距離を
取り観察者という立場を逸脱した
その結果、観察を終了せざるを得ない
事態が生じてしまった(瑞帆の自殺)


そして、ラストシーンは怖かった
中学生になった美空に刑務所から
出所した郷田が接触する
娘までストーキングとは((( ;゚Д゚)))
美空には被害が出ないでほしい


禁止シリーズにしてはミステリー要素
は少なかったが面白かった
瑞帆の心理描写に臨場感があった
人を殺した後の人間の心理はつらい
ずっと不安なら真実を話して自首して
逮捕される方がマシだと思った

歪んだ愛は怖かった
人を好きになる“愛”は美しいが
それがいびつな形をしていたり
方向がズレるだけで憎しみにもなる
帯にあったように愛さなければ
誰も死ななかったのに……
“愛”について考えさせられる作品でした

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