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こんな人にオススメ
・蝶が好き
・一気読みしたい
・イヤミスを楽しみたい



あらすじ・内容
蝶が恋しい
蝶のことだけを考えながら生きていたい
蝶の目に映る世界を欲した私は、
ある日天啓を受ける
あの美しい少年たちは蝶なのだ
その輝きは標本になっても色褪せない
五体目の標本が完成した時には
大きな達成感を得たが、再び飢餓感
が膨れあがっていく
果たして、それは誰の標本か?
幼い頃からその成長を目に焼き付けて
きた息子の姿もまた、蝶として
私の目に映ったのだった
イヤミスの女王、更なる覚醒
15周年記念書き下ろし作品!



     



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ネタバレ・感想
まず、タイトルから不穏な空気が漂う
冒頭の絵には標本にされた少年たち……
早く読みたいが、読みたくない
いきなり衝撃が読者を襲う!
蝶好きな男が、少年たちを殺して
美しい姿を標本にしていく物語
被害者の中には自分の息子も含まれる
猟奇的殺人の真相が少しずつ語られていく
凡人には理解できない芸術が描かれる


蝶はキレイだとは思うが、標本になれば
不気味な感じがすると思っていたが
物語に出てくる蝶を検索してみたら
どの蝶もキレイだった
中でもレテノールモルフォは別格
蝶に魅せられる史郎が理解できた


キレイで輝いている状態を残したい
気持ちは分かるが殺人はやりすぎ
先の展開がきになり一気読みだった


【登場人物】
榊史郎・蝶を研究する大学教授
榊至・・史郎の息子
留美・・画家で色彩の魔術師と呼ばれる
杏奈・・留奈の娘
深沢蒼・レテノールモルフォ
石岡翔・ヒューイットソンミイロタラハ
赤羽輝・アカネシロチョウ
白瀬透・モンシロチョウ
黒岩大・オオゴマダラ


・山奥の小屋での絵画教室
・美少年&美少女
・色彩の魔術師の後継者選び

史郎の心の奥底に眠る危険な欲望が
留美が用意した舞台で解き放たれる
史郎怖すぎるだろ((( ;゚Д゚)))


画家の父の影響で史郎“美”への追及が凄い
欲望を抑えきらずに犯行を重ねる
一線を越える描写にはゾワゾワした
物語が進行するにつれて真相が明らかに
謎が謎を呼び、疑惑が深くなっていく


犯人は史郎ではなく、息子の至だと
少しずつ判明していく描写はじわじわ
精神的に追いつめられるようで疲れた
自分が史郎の立場だったら……
どう対処していただろうか?
史郎と同じように息子を殺したか?
息子と協力し証拠隠滅を図ったか?
息子が怖く感じるし、手におえないし
自首させただろうか?
とにかく心をかき乱された(;´゚д゚)ゞ


しかし、このままでは終わらない
息子の犯行をかばい死刑判決を受けた史郎
そこに、杏奈が面会に訪れる
そこで語られたのは衝撃の言葉だった
犯人は至ではなく、杏奈だった( 。゚Д゚。)
(至は殺人はしていないが標本作製はした)
動機は母・留美の後継者になるため


その事実で打ちひしがれる
愛する息子を殺してしまった史郎
想像しただけで辛すぎる
そして、更なるどんでん返しが
杏奈も留美に操られていた!!
これには驚いた


犯行ケース6に使用された絵画の解析
では絵の下に隠された文字に涙した

「お父さん、僕を標本にしてください。」

息子を信じて、寄り添っていれば
結末が変わっていたかもしれない
黒幕は留美だったが、留美が芸術に
目覚めたきっかけは“蝶の標本”
この標本を作ったのが史郎なのが
本当にやるせない(;´Д⊂)
完全にイヤミスを超えている
読むのは辛かったが面白かった
これだから、湊かなえ中毒になる


読む人をかなり選ぶ作品だと思うが
イヤミス好きにはオススメの1冊です
湊作品には珍しいサイコパス要素もあり
これは話題作になりそうだ

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