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こんな人にオススメ
・一気読みしたい
・ミステリーが好き
・ライトな湊作品が読みたい



あらすじ・内容
中学生の時に両親を事故でなくした
美佐は叔母に引き取られ、高校時代を
山間部の田舎町で過ごす
それから約30年、育った家がごみ屋敷
となり果て、久しぶりに戻った美佐は
家を片付けていく過程で金庫を発見する
そこからひもとからる、家族にさえ
言えなかった叔母の秘密とは・・・
湊かなえが新たに挑む介護ミステリー!


    

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ネタバレ・感想
嫁姑問題に加えて介護まで避けては
通れない問題がミステリーになっていた
序盤のごみ屋敷を掃除するところから
物語に引き込まれて一気読みだった
閉鎖的な空間でドロドロしな女性を
描いたTHE“湊かなえ”という作品で
女性の心の内に秘めたモヤモヤを
表現するは抜群に上手いと思った


当時人物
美佐・叔母の介護のため田舎町へ
弥生・美佐の叔母で認知症(ローズ)
公雄・弥生の夫(亡くなっている)
邦彦・美佐の高校時代の恋人(森籠り)
菜穂・邦彦の妻
菊枝・邦彦の母(デイジー)


序盤にあった清掃業者の話が良かった
ごみ→お荷物
臭い→臭いが強い
汚い→汚れている
仕事とはいえ、これだけ気を遣える
のは凄いし、なにより言葉選びがいい
実際に片付いてキレイな部屋を見たら
心がスッキリするだろうし、嬉しくて
泣く依頼者がいてもおかしくない


家を片付けるというシチュエーション
がワクワクしたし、家の歴史や秘密
が明らかになっていくのが良かった
美佐は家を片付けていく過程で開かず
の金庫を発見する
中には何があるのか?
美佐と同様に金銭があると期待したが
出てきたのは黒いコード(・_・?)
認知症の弥生さんが入れたのか?
何か意味はあるのか?
ミステリ度が一気に増していく


ノルウェイの森(下)を見つけて
邦彦の家を訪ねる展開が良かった
もし、自分が邦彦と結婚していたら
と思う気持ちがあったと思う
誰も一度は思うし気になる気持ち
は理解できるし感情移入できた
淡い気持ちを持っていたら・・・
邦彦の妻がおばあさんの口にスカーフ
をいれている場面に遭遇する( 。゚Д゚。)
そこから、邦彦の妻と意気投合し
「交換家事」が始まる
初対面の弥生に任せるのはちょっと
無理があるようにも思えたが
それだけ、菜穂は追い詰められていた


菜穂が北海道へ行っている間に
美佐に邦彦から連絡が入り会うことに
この時点では美佐は電話で同様して
いるし邦彦に対しドキドキしていた
森で食事を取り、車なのに飲酒するし
小屋で浮気をする流れなのかと
ドキドキした(;´゚д゚)
結局、小屋の本棚でノルウェイの森(上)
を見つけ本の下巻だけを読むのが嘘
だったと一気に気持ちが覚める美佐


黒いコードは弥生の義母の転落事故
の原因になったものだった
公雄→母は2階に上がれないと思っている
美佐→這いながら上がれると思っている
公雄は菊枝が物を盗んだと考えて階段
に黒いコードで罠を仕掛をした
・上りはたいしたことにならない
・下りは大事故
2階から降りるのは公雄と美佐だけ
美佐には仕掛をしたことを教える
公康は菊枝を試していた

・コードはたわんでいた
・弥生はコードをそのままに
(姑が怪我をすればいいと思っていた)
→結果、義母は転落事故で亡くなる

弥生や公雄は罪の意識に捕らわれ
この黒いコードが金庫に封印される
菊枝は弥生から嫌われていて、弥生が
コードを仕掛けたと思っていた
美佐より、この長年の誤解が解けた
黒いスカーフを菊枝姉さんに渡す流れ
は温かい気持ちになった
菊枝の思いが弥生に伝わったシーン
はジワリときた(o;д;)o


ラストシーンもキレイで良かった
餞別として菜穂ので連絡先を渡す
これは邦彦の気持ちを試していた
邦彦が選んだのは菜穂だった

菜穂「計画通り進んでますか?」
美佐「旦那さんの目の奥にいる女
  は私じゃないですよ」

菜穂は交換家事の提案を美佐が邦彦
を奪う為の計画と考えていた
美佐自身も過去から戻った恋人
という空気を醸し出していたし
そんな気持ちも実際にあったと思う

「私は左のポケットに手をいれ、別の
連絡先を記したメモが入った封筒を、
握りつぶした。」

この別の連絡先は誰のことか?
美佐か弥生のどちらかになる
どちらとも読み取れる

美佐の場合
・邦彦が美佐を選んだ場合に渡すため
つぶす行為は邦彦への想いを立ち切る
 ことを表している

弥生の場合
・弥生のことをまだ好きだと思っていた
・弥生よりも菜穂を必要としていた
・弥生は必要ないとのでつぶした

邦彦が北海道行きの飛行機の中で
「ノルウェイの森 下巻」を読んでみるかな
と言った後に封筒を握りつぶしているから
おそらく美佐だろう


・現在と未来
・昔の恋人
・ノルウェイの森(赤・緑) 
・スカーフ
・赤い日記帳
・替えてない電球
・開かずの金庫
・黒いコード 

様々なアイテムを巧みに作った伏線
はどれも物語の鍵になっていた
使い方が上手いなー
下巻しか読まない邦彦の考え方は
今を大切にしているように感じて
面白いが、いい大人がそんなことを
していたら少し気持ち悪い(笑)
湊作品は「人間標本」以来読んだが
今回は温かいミステリーでほっこりした
美佐がケアマネージャーを目指して
未来に希望が持てるラストで良かった
過去に導く1冊の本が「ノルウェイの森」
だったのがオシャレだった


嫁と姑は実の子ではないのに家族
全くの他人じゃないから遠慮もない
上手くいく時はいいが、性格や考え
が合わないと衝突する
そもそも育った環境から違うので
お互いを理解できるわけがない
介護に苦労する登場人物の心理描写
が丁寧に描かれリアルだった
「交換家事」は斬新でいいアイディア
だと思ったし、どんどん介護しやすい
社会になってほしいと思った


介護を通して、“人生”や“生き方”
を考えて自分で決断していく物語
で美佐はカッコいい女性だった
男性陣はダメ男ばかりだった
これは美佐や弥生を引き立てるためか?
金庫を開けた松田(なんでもザウルス)は
爽やかで物語のアクセントになっていた
いいキャラなので他の作品にも出てほしい
派手などんでん返しやオチはないし
お得意のイヤミスは少なめだったが
現代を生きるうえで大切なことを
考えさせられる作品でした!

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