
こんな人にオススメ
・ダークな話が好き
・不気味な世界観を楽しみたい
・変わったミステリーが読みたい
あらすじ・内容
夢想家のお嬢様たちが集う読書サークル
「バベルの会」で夏合宿の二日前に会員の
丹山吹子の屋敷で惨劇が起こる
翌年も翌々年も同日に吹子の近親者が
殺害され、四年目にはさらに凄惨な事件が
優雅な「バベルの会」をめぐる五つの事件
甘美なまでの語り口が、ともすれば
暗い微笑を誘い、最後に明かされる
残酷なまでの真実が、脳髄を冷たく
痺れさせる米澤流暗黒ミステリの真骨頂

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ネタバレ・感想
ずっと読みたかった本をやっと読了
米澤作品は「満願」が面白かったので
期待しながら読んだが本作も良かった
終始不気味な雰囲気で残酷なシーンも
あったが先が気になり一気読みだった
お金持ちのお嬢様たちが登場するので
どう物語が展開するかワクワクした
この設定で何も起こらないハズはない
まず、バベルの会はバベルの塔から
きていて聖書の中に登場する巨大な塔
天まで届く塔を建築しようとしたが
それは神によって崩されてしまう
空想的で現実不可能な比喩とされている
「身内に不幸がありまして」
・丹山家の事件
・バベルの会所属-丹山吹子
・お嬢様を好き過ぎる使用人
誰が丹山家の人々を殺したのか?
使用人の夕日が怪しいが・・
まさかの黒幕はお嬢様の吹子( 。゚Д゚。)
動機は「バベルの会」のお泊まりへの
不安(他人と一緒に眠る恐怖)から
バベルの会の夏合宿に行きたくない
→そうだ!私が身内を殺せばいい
→身内の不幸のため参加できなくなる
吹子サイコパスすぎる((( ;゚Д゚)))
思考回路がぶっ飛んでいて理解不能
夕日がかわいそうだった
タイトルが最後の一文になっている
のには遊び心を感じた
「北の館の罪人」
・六綱家の事件
・バベルの会所属-六綱詠子
・異母兄弟かつ使用人のあまり
長男の早太郎を殺したのは誰なのか?
当主である次男の光次郎と思わせて・・
使用人あまりがまさかの黒幕だった
早太郎は見方じゃなかったのか?
これだけでは終わらない
早太郎は彼女の殺意に気づいていた!
作品の紫色が時限爆弾のようだった
あまりの手は赤くなっていくし
これからどうなるのか?想像すると怖い
景色がガラっと変わるのは面白かった
「山荘秘聞」
・辰野家の事件
・バベルの会所属-辰野ゆき子
・“おもてなし”がしたい使用人
この話もゾワゾワして好きな話だった
飛鶏館に人を招きたい使用人の守子
崖から滑落した登山者の越智の手当て
を行い全然おかしなことはないと
思っていたら山岳隊に越智の存在を
教えない(・_・?)
越智はもう死んでいるのか?
肉はもしかして越智なのか?
と思っていらは生きていて良かった
秘密を知った越智は口止め料として
煉瓦のような塊(分厚い札束)を
もらっていた(怖いが少し羨ましい)
てっきり殺して口封じをすると思って
いたので、この結末には裏切られた
唯一救いがある話だった
「玉野五十鈴の誉れ」
・小栗家の事件
・バベルの会所属-小栗純香
・玉野五十鈴(たまのいすず)が使用人
最後の一行の衝撃が凄い
まさか、そうくるとは!!
荻原浩の「噂」のようなラスト一行
一気に伏線を一気に回収してくる
真相がわかると本当にゾワゾワした
始めちょろちょろ、中ぱっぱ
赤子泣いても蓋取るな
五十鈴は純香を助けるために行動した
二人は心が通じ合っていて良かった
強い絆を感じた少し感動したが
赤ちゃんを燃やすのは怖い
お祖母を殺す方が良かったのでは?
ゾワゾワ度はダントツだった
純香の教えを使用人として忠実に
守っただけだったらある意味一番怖い
解釈次第で物語の意味が変わるし
読者の評価が高いのも理解できる
伏線の使い方が抜群に上手かった
「儚い羊たちの晩餐」
・バベルの会除名-大寺鞠絵
・バベルの会消滅の真相を描く
・完璧すぎる料理人
鞠絵の精神状態が怖かった
料理人の夏に“アミルスタン羊”を宴
に出すように指示を出す
そして、“アミルスタン羊”の狩り場
として夏の蓼沼指定する
ちょっと待ってくれ!一瞬思考が止まる
バベルの会が開催される場所だよな
つまり・・・
アミルスタン羊 = 人肉((( ;゚Д゚)))
宴に出されたのは会長だけだが
夏の料理へのこだわりによって
バベルの会の会員は全滅した
これで終わりかと思いきや、日記を
読み終えた女学生はサンルームを
気に入り自分の場所にする
そして、最後の一文が不穏な空気や
緊張感、嫌な読後感を作り出す
“バベルの会はこうして復活した”
彼女も「儚い者」だったという結末
うわーまた新たな犠牲者が出るのか?
それとも、ようやく安息を得るのか?
読者の想像に委ねる終わり方だった
“バベル”と言うくらいだらか上手く
いかない可能性の方が高いよなー
滅んでは復活してを繰り返しそう
お嬢様たちが「儚い羊」だったという
一気読み必至のミステリーだった
上品なゾワっとするサイコパスを
楽しめるし、ミステリーでありながら
探偵役がいないので世界観がキレイ
儚くて痺れる傑作短編集でした!

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