
こんな人にオススメ
・怪しい世界観が好き
・緻密な構成を楽しみたい
・考えさせられる本が読みたい
あらすじ・内容
箱を祀る奇妙な霊力者、箱詰めにされた
少女たちの四肢、そして巨大な箱型の建物
箱を巡る虚妄が美少女転落事件と
バラバラ殺人事件を結んでいく
作家・関口、刑事・木場、探偵・榎木津
が事件に関わり京極堂の元へ
果たして憑き物は落とせるのか?
日本推理作家協会賞受賞の超絶ミステリ!

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ネタバレ・感想
気になってはいたが中々読めなかった
理由はもちろん1000ページ超えの長編
読み始めてから読み終えるまで約2週間
かかったが面白かった!
物語が緻密に練られていて凄かった
読むのは躊躇したが読んで良かった
・美少女連続殺人
・消えた加菜子の謎
・謎の教団と研究施
これが箱というテーマで結び付いていく
中でも消えた加菜子の謎が面白い
30人の警官に取り囲まれ出口はひとつ
刑事の目の前で重症である患者が消える
どんなトリックがあるのか?
加菜子が消えてからは一気読みだった
また、京極堂の物事の解説が良かった
天気予報の降水確率は詭弁というのは
前々から思っていたので共感した
降水確率50%って予報じゃない
雨が降っても降らなくても半分当たり
こっちは雨が降るかを知りたいのに……
他、超能力者、占い師、霊能者、宗教者
“違い”の考え方も興味深かった
超能力者
仕掛:超能力なのでダメ
目的:その人それぞれ
占い師
仕掛:占いの本分を満たせばアリ
目的:営利や人助け
霊能者
仕掛:あっていい
目的:その人それぞれ、布教はない
宗教者
仕掛:信仰に問題がなければ問題なし
目的:信者を増やす
確かにトリックやペテンである仕掛と
それぞれの目的で分類することができて
なるほどなーと思った
加菜子が消えたトリックには驚いた
刑事の目の前で一瞬で消えるには
どこかに隠すしかないけど
隠れる場所はないし出口もひとつだし
いくら考えてもわからなかった(笑)
何と加菜子は・・・
箱の中に隠されていた!!
そのままでは入らないので四肢は
切断され箱の中に入れられていた!
これには驚愕した((( ;゚Д゚)))
加菜子は治療をしていたのではなく
生かされていた状態だった
さらに真相が明らかになっていく
加菜子は美馬坂と陽子の子供だった!
つまり加菜子と陽子は姉妹であり親子
これにもかなり驚いた
久保の小説の内容が幻想ではなく
事実だったと明らかになった瞬間は
かなりゾワゾワした
加菜子が入った箱を雨宮が持って
逃げていたことが判明する
雨宮は自分の幸せを手に入れていた
箱を持った笑顔の雨宮を想像したら
怖くて鳥肌が立ちそうになった
京極堂の「幸せになるのは簡単なこと
人を辞めてしまえばいいのさ」
が印象的で心に残った
魍魎とは形はないが、小さなきっかけ
や魔が差すことで人は狂っていく
頼子→加菜子を轢死させようとした
美馬坂→娘の臓器を取り出し四肢を切断
須崎→加菜子を誘拐未遂
雨宮→須崎を殺し加菜子を箱に入れ愛す
久保→箱に入った加菜子を見て羨ましく
なり頼子を含む美少女を殺害して
箱に入れるが、自らも箱にされる
また、永遠の命は医療の最大のテーマ
再生医療で人工臓器を人体に入れて
病気が治るのは素晴らしい
しかし、何をどこまで入れ換えたら
人なのか?加菜子の状態は人なのか?
人間も結局は“箱”なのか?
建物も社会も概念も全て“箱”なのか?
箱は境界をはっきりさせてくれた
狂気と正常の境界、生と死の境界
パンドラの箱は開けてはならなかった
色々と考えてさせられる1冊でした

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