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こんな人にオススメ
・山登りが好き
・一気読みしたい
・心理描写を楽しみたい


あらすじ・内容
雪崩で死亡した兄の遺品整理をするうち
直志はザイルに施された細工に気付く
兄の死因は事故か?それとも事件か?
疑惑を抱く中、兄の登山隊に関する
2人の男が雪山からの生還を果たす
真相を確かめたい直志であったが
2人の証言は正反対のものだった!
ヒマラヤを舞台にした山岳ミステリー





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ネタバレ・感想
ヒマラヤの雪崩から生還した2人の男
高瀬と東の証言が正反対だった

高瀬→加賀谷を英雄視
東→加賀谷は卑怯者と証言

ヒマラヤの山岳で何が起こったのか?
どちらが嘘をついているのか?
兄はなぜ登山したのか?事故か?他殺か?
謎が謎を呼び序盤から物語に引き込まれる
読み進めると新たな謎がどんどん出てきて
本当に回収できるのかと思うほどでした


恵利奈と直志の捜査によって
二転三転する生存者たちの印象
高瀬は悪いヤツで黒幕かと思いきや
いいヤツで山に対して真摯に向き合い
登山者を見捨てずに助ける山の男だった



物語のカギを握るのは賀谷だった
白馬岳の事故のガイドが加賀谷と分かり
加賀谷は罪の意識をずっと持っていた
本作は「サバイバーズ ・ギルト」がテーマで
それぞれが生き残ってしまった事に対する
罪悪感に苦しんでいた


終盤は真相が気になりページをめくる手
が止まらなかった
また、直志が気付いた真実に驚愕した
兄の遺品の手帳の言葉


ダウンジャケット未着。なぜ?


白馬岳の遭難事故では加賀谷は登山者を
見捨てて1人で下山をしたように思われて
いたが、そうではなかった
発見された遺体はダウンジャケットを
着ていなかった
それは吹雪の中を行動していたからだった


加賀谷が女性たちを見捨てたのではなく
女性たちが加賀谷を見捨てていた


残された女性陣は加賀谷がテントから

出た後にテントをたたみ下山を目指した
結果的に雪崩に遭遇して亡くなってしまう
もし、テントの場所から動かなかったら
助かっていたかもしれない


兄はその事実を知っていた
生還者たちの復讐を止める為に
登山を決意していた!
最終的には、加賀谷の装備が誤解を生み
憎しみを買い、悲劇に繋がってしまった


東は4年前にパートナーを失い
今回のカンチェンジュンガでも
1人だけ生還してしまう
高瀬から加賀谷の真意を聞かされて
動揺し、自ら死を選んでしまった
東が一番苦しんでいたように感じた



エピローグは場面が一気に変わる
直志はやっぱり恵利奈を選んだのかー
と思いきや、恵利奈の相手の新郎は・・・





高瀬だった!!




ここでも作者に騙されました
最後まで作品を楽しませてくれました
ラストシーンのライスシャワーは
明るい未来を描いていて感動的だった
下村敦史作品は初読みでしたが大満足
伏線をしっかり回収しスッキリします
他の作品も読もうと思います!

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