サラリーマンの読書

読書好きのサラリーマンです オススメの本を紹介しています! 生活に活かせる情報も発信中(^_^)/

タグ:中村文則

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こんな人にオススメ
・暗い話が読みたい
・ミステリーを楽しみたい
・中村文則ワールドが好き


あらすじ・内容
この迷宮事件に強く惹かれるのはなぜか
彼女が好きだから?それとも・・・
「僕」がある理由で知りあった女性は
一家殺人事件の遺児だった
密室状態で両親と兄が殺されて
小学生だった彼女だけが生き残った
「僕」はその事件を調べていく
巧みな謎解きを組み込み圧倒的な筆力
で描いた最現代の文学!





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ネタバレ・感想
本作も中村ワールド全開だった
ダークで登場人物は狂気じみている
タイトルの迷宮は日置事件の「迷宮」を
意味するだけでなく関係者の心も「迷宮」
に誘うミステリーだった
いつもの如く、人間の闇の部分を描いて
いるので精神的に疲れている時には
読まない方がいいかもしれない(笑)


日置事件は密室かつ出入口に防犯カメラ
の状態で怒ってた一家殺人事件
主人公の新見は学生時代の同級生てあり
「日置事件」の唯一の生き残りである女と
出会いストーリーが展開していく
新見は自分の中にいる別人格の「R」が
「日置事件」の犯人なのでは空想する
新見にとっては魅力的な事件であった


新見は少年時、誰とも口をきかず
医師からは「そうやって生きていくと、
大人になった時大変なことになる」
と言われるような少年だった
新見は自分自身が「普通」ではないと理解
しながらも、自身を変えることができない
わかってはいるが、衝動に逆らえない
不安定な危うさが上手く描かれている
中村作品の「闇」や「狂気」が繊細に描かれ
面白く物語に引き込まれていく


「日置事件」の生き残りである沙奈江も
精神的に病んでいて不安定な感じだった
父親の剛史は恐ろしいほど妻へ嫉妬し
防犯カメラを設置したり妻の自転車を
壊したり明らかに普通じゃない
長男はビニール手袋を付けて折鶴を折るし
妹に向けての性欲をコントロールできない
剛史の異常なまでの嫉妬が原因で家族は
どんどん歪んでく


終盤に沙奈江は事件について告白するが
それが本当の真相とは限らない
その為、また迷い込む“迷宮”状態になる
ラストは未来に希望が持てたので良かった
この二人が上手くいくことを願いたい


多くの人の心にはRは存在している
思っていても口に出せないことや
普通じゃない考えや狂気などがある
本当はしたいが実際には制約があって
出来ないことは多い
だからこそRは魅力的で美しい
Rと上手く付き合えればいいが
出来なければ心が病んでしまったり
超えてはならない壁を越えてしまって
犯罪を犯してしまうケースが考えられる


また「普通」とはどういうことなのか?
大多数の考えが普通なのか?
そもそも普通という基準は人それぞれ
新見や沙奈江みたいに心が病んでいる
人ばかりだったらそれが普通になるのか?
価値観や基準は絶対的なものではない


例えば母親に対してやさしい息子は
周りからは母親思いの良い息子に映る
しかし、度を越える言動があれば
狂気染みたマザコンにしか映らない
普通から悪い方にズレれると
周りからの評価は180度変わってしまう


普通や常識の中で生きないといけない
しかし、個性を出さないとつまらない
人間と見られてしまう
器用じゃないと生きにくい世の中で
作者自身も心にRがいると書かれていた
中村文則は作品として自身のRの部分を
解放しているのではないかと思う
暗い物語で心の闇や狂気にスポットを
当てた作品が多いがなぜか読んてしまう
引き寄せられる魅力がある
精神的に病んでいて危うさがある主人公が
どこか美しくみえるのは人間らしさが
あるからだろうか?


心の中に「普通」ではない考えがある
ことはおかしなことではないという
メッセージを強く感じた
自分の価値観を大切にして自分らしく
そして幸せに生きていくと事が大切だと
いうことを考えされられた作品でした
ミステリー要素もあり満足な1冊です!

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こをんな人にオススメ
・考える深い話が好き
・心理描写を楽しみたい
・ダークな話が読みたい


あらすじ・内容
施設で育った刑務官の「僕」は夫婦を刺殺
した20歳の未決囚・山井を担当している
一週間後に迫る控訴期間が切れれば死刑
が確定するが、山井は何か隠している──
どこか自分に似た山井と接する中で
「僕」が抱える、友人の自殺の記憶や
大切な恩師とのやりとり、自身の混沌
が描き出される
重大犯罪と死刑制度、生と死に向き合う
その先にある希望はあるのか!?





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ネタバレ・感想
今回も重く中村文則らしいダークな作品
心に何らかの闇を持っている登場人物たち
が物語を展開していく


刑務官は様々な葛藤があるだろうし
本当に大変な仕事だと思った
中でも主任が語る苦悩がつらかった
被害者の遺族の立場であれば加害者に
対して情が湧く事はまず無い
しかし、死刑執行をする側からすれば
死刑制度は大きな問題を抱えていた
そこまで刑務官に負担を掛けるのは
おかしいと思った
死刑制度自体には反対ではないが
世論やマスコミに影響される不可解な
判決は無くして欲しい
何の為に死刑があるのかを考えされられた


幼い頃の記憶や友人の自殺、配管の水の音
など水の描写が“死”や“暗さ”を表現していた
留まらず動いていた水がテーマである“命”
を表していた


反対に施設長は“生”や“希望”で“命”を描く
印象的だったのは施設長が発した言葉

「現在というのは、どんな過去にも勝る。
そのアメーバとお前を繋ぐ無数の生き物
の連続は、いいか?全て今のお前のため
だけにあったと考えていい」

これは“生”や“命”をリアルに考えさせ
今の大切さを教えてくれた
施設長の存在は「僕」にとって大きく
いい影響を与えてくれていた

また、卒業式のエピソードには感動した

「僕は・・・・・・」
「孤児でよかった」
「あなたにあえた」

これには施設長も涙していたし
こっちも読んでいて涙ぐんだ(;´д⊂)


施設長が「僕」をいい方向へ導いたように
「僕」は山井に対して接していく
ラストの山井のひらがら混じりの手紙
には希望が持てて良かった


主人公の「僕」は不安定で共感できる部分
を感じる事ができた
犯罪や自殺を犯してしまうのはなぜかか?
「僕」と山井の違いは施設長の存在
「僕」と真下の違いは恵子の存在だった
生い立ちや境遇も理由の一つだと思うが
不安定な精神を支えてくれる人たちの存在
があるがどうかが大きいと思った


命をテーマにした難しい話だったが
施設長や「僕」の言葉は心に残った
誰にでも憂鬱な夜はあると思う
読んで良かったと思えた1冊でした

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こんな人にオススメ
・一気読みしたい
・ダークな話が好き
・深く考える作品を読みたい


あらすじ・内容
死に至る病に冒されたもの奇跡的に
一命を取り留めた男
生きる意味を見いだせず全ての生を
憎悪し、その悪意に飲み込まれ
ついに親友を殺害してしまう
たが、人殺しでありながらそれを
苦悩しない人間の屑として生きること
を決意する──
人はなぜ人を殺したらいけないのか?
罪を犯した人間に再生は許されるのか?
究極のテーマに向き合った問題作!




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ネタバレ・感想
本作も中村文則らしさ全開だった
「狂気」×「悪」×「ダーク」な物語
人をなぜ殺したらいけないのか?
という究極のテーマで読み応えがあり
重い話だったがとても面白かった


致死率80%の重い病気が奇跡的に治った
主人公は生きる意味を見いだせず
自殺を試みようとした時に偶然に親友
に出会い衝動的に殺してしまう
主人公は異常な精神状態な中で人殺し
でありながらもそれを苦悩しない“悪魔”
のような人間として生きる事を選択する


善悪の基準は人間が作った価値基準
であるから“人を殺したらいけない”
という問いに対しての答えは無い
と大学時の主人公は考えていた
確かに、人を殺してはいけないが
その人に立場や置かれた状況によって
は変わるのでその考えは正しいと思う
作中でもリツ子の娘を殺した犯人が
出所し同じ犯行を繰り返そうとして
遺族から殺されたが、この殺人に対しては
全く悪いとは思わなかった
遺族と同じ状況であればほぼ全員が
同じ行動を取っていただろう


主人公は人殺しであるという事に苦悩しない
屑のような人間として生きる事を選択して
いるが、常に罪の意識を抱え苦しんでいた
読んでいて本当に疲れる程だった


出所後の元少年との対比も描かれていた
苦悩し続ける主人公と全く反省せずに
新作のゲームソフトを購入する為に
朝早くから行列に並ぶ元少年
主人公もかつてはこの元少年のように
悪い人間になろうとしていた
しかし、違和感に感じ戸惑っていた
少女を見捨てずに助けた事からも
悪人ではなく人間らしくなっていた


祥子や武彦との出会いも主人公を変えた
特に祥子に対しては「幸せになってほしい」
と心から思っていた
リツ子がいなかったら主人公はまだ
暗く沈んだ悪人のままだっただろう


終盤にリツ子が発したセリフ
「どこかで、苦しんでいてもいいから
生きなさい。わたしも、同じように
生きているから。」
には主人公同様に涙した
リツ子にK の母親を映していただけに
許しを得たように思ったのかもしれない


ラストは警察に出頭していたが病気が
再発して警察が管理する病院に入院する
手記はここで書かれていた
同じ病気でも主人公の気持ちは穏やかで
落ち着いていた
そこでKを殺したら自分を、最後まで
抱えていく事を決意する
このラストシーンには一筋の光が
差したように思えて良かった


ラストの注釈として
「アルファベットの混乱を避けるため
主に仮名を用いた」とはどういう事か?
「去年の冬、きみと別れ」のラストと
同じように感じたし
作者はアルファベットや仮名にこだわりが
あるように思えた

主人公が親友の名前を「K」としたり
罪の意識を抱えながら生きる事は
夏目漱石の「こころ」を意識している

また、ドストエフスキーの「地下室の手記」
にも色濃く影響がされている
内容としては人間は 2×2=4 のような
数学的、合理的な存在じゃない
もし、人間がそんな存在なら機械と同じ
それは人間といえるのか!?
ドストエフスキーは地下室人(自身)を
通して人間らしさを問い掛けている
哲学的な事は難しく分からないが
苦悩する事自体が人間らしいという事
が描かれている


本作を手記形式にする事でより
客観的に物語を表現していた
なぜ人を殺したらいけないのか?
の明確な答えは出なかったが
罪を犯した人間が再生する為に最も
必要な事は罪の意識を抱える事であり
許される事は人にもよるがあると
作者は主人公を通して表現していた
難しいテーマでしたが満足な1冊でした!

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こんな人にオススメ
・裏社会の話が好き
・逃亡劇にヒヤヒヤしたい
・深く考える作品が読みたい


あらすじ・内容
組織によって選ばれた「社会的要人」の
弱みを作ることがユリカの仕事だった
ある日、彼女は見知らぬ男から忠告を受ける
「あの男に関わらないほうがいい・・・
何というか、化物なんだ」
ユリカは木崎という最悪な男に出会って
しまい、逃亡生活が始まった!
世界中で翻訳・絶賛された「掏摸」の兄妹作!





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ネタバレ・感想
「掏摸」の兄妹編である本作
こちらから読んでも問題は無いです


ユリカは正体不明の組織に属する矢田から
請負う仕事(ハニートラップ)を完璧にこなし
要人達の弱みを作っていた

しかし、ある時事態が一変する
矢田と裏社会を牛耳る木崎が衝突した為
ユリカは命を狙われ逃亡生活を強いられる
スリリングな展開で序盤から物語に
引き込まれ一気読みでした



木崎は独自の思想を持っており
「人間の運命を翻弄する神の役割」
を自らがやろとしていた


ユリカに接触しているのも、木崎が立てた
計画でユリカの運命の台本に沿っていた
(木崎に対する警戒心から多少の誤差は出た)
絶対悪である木崎に翻弄されるユリカ
全てが木崎の手の中で展開していく
木崎怖すぎ((((゜д゜;))))まさに化物!!


終盤は木崎に捕まってしまい
ユリカは殺されてしまうのか!?
とハラハラしたがそうならずに良かった


作中の木崎のセリフ
「問題は長短ではない。肝心なのは、
この世界の様々な要素をどう味わうかだ」

これはどういう事を意味するのか?
金や権力を手に入れ尽くしたら
こんな考えになるのだろうか?

長短ではない事から時間ではない
もちろん金や権力だけでもない
様々な要素とは人生での全ての出来事
自分で考えて行動し最善を尽くす
過程も結果も楽しみ味わうという事なのか?


月が象徴的でユリカを表している
地球を木崎と考えると月は地球から
離れる事はできないので、支配を意味する


ただ、ナイフ(希望)があるので“誤差”を
起こす事もできる
人生は運命(台本)で決まっていても
自分で切り開く事ができると思った
未来への希望を含ませるラストは良かった
ユリカはこれからどうなるのか?
続編が出て欲しいなー

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こんな人にオススメ
・一気読みしたい
・ミステリーが好き
・謎や仕掛けを楽しみたい


あらすじ・内容
ライターの「僕」は、ある猟奇的殺人事件の
被告に面会後にいく
彼は2人の女性を殺した罪によって
死刑判決を受けていたが、動機は不可解
事件の関係性もどこか歪んでいる
この異様さは何か?本当に殺人なのか?
真相にだどり着けないのは必然だった
何故ならこの事件は・・・
話題騒然のミステリー!!





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ネタバレ・感想
2人の女を焼き殺した罪で死刑判決を
受けた猟奇的犯罪者の木原坂雄大
彼の狂気や闇を暴いていく小説・・・
かと思いきや全然違う話だった


ミステリアスな登場人物ばかりで
先が気になり一気読み必至
ページ数は少ないのでサクサク読み進めた
読み終えて思ったことは・・・


M・M とJ・Iって誰だ?
読み返すも作中には出てこない
普通に考えると

M・M→木原坂雄大
J・I →吉本亜希子
でもイニシャルが違う(?_?)
作中にはこのイニシャルは出てこない



終盤の「編集者」のセリフ
「物語の最初のページには彼らの名前を
書くことになる・・・
これは小説だから本文では仮名を用いた
けど、そこには彼らの本名を。」


イニシャルは本名の事でした!


ここでこの小説は「編集者」の小林が
交際相手、吉本亜希子の復讐の為、
ライターの「僕」に書かせた小説!
読者は「去年の冬、君と別れ」という
復讐の為の小説を読まされていました



話が少し複雑でしたが
時系列で要約すると


「吉本亜希子」木原兄弟に殺される
→「小林」が復讐の為に姉「朱里」を殺害
→その罪を「雄大」になすりつける
→この計画実行の記録を本にする
 (ライターの「僕」を利用する)
→それを本が好きな「亜希子」に捧げる
→復讐完結の為、「雄大」に真相を知らせる


「狂気」や「執念」テーマの小説で
登場人物はほぼ狂っていた
「小林」の狂気は異常な執着心からで
単なるミステリーではなかった
復讐の為に自分を捨てた「小林」
化け物になっても「亜希子」を愛していた


ただ、ひとつ「K2メンバー」が謎
「斎藤」と「小林」はメンバーと分かるが
他のメンバーは作中では明かされない
何のメンバーなのか?そもそも何なのか?
この伏線は回収して欲しかった


「僕」、「きみ」が章によって変わるし
「木原坂朱里」が「小林百合子」になるし
頭を整理しないと混乱しますが、
読み応えや仕掛けがあり満足な1冊でした

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