
こんな人にオススメ
・ハラハラしたい
・探偵物が読みたい
・ドンデン返しを楽しみたい
あらすじ・内容
始まりは各種メディアに届いたある童話
「メルヘン小人地獄」だった
毒薬を作った博士と毒薬の材料になった
小人たちの因縁を綴ったストーリー
やがて童話をなぞるような惨事が起こり
世間の注目を集めることになる
膠着する捜査を後目に、名探偵の推理は?
斬新な二部構成によるミステリー!

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ネタバレ・感想
小人地獄という猛毒に纏わるミステリー
第一部は名探偵の瀬川の推理が冴え渡る
猟奇的殺人事件から真相解明までの
展開は王道のミステリーで読み応えアリ
第二部では冒頭で家庭教師・山中冬美が
藤田家のリビングで死亡する
何者かがポットに毒を入れていた
しかも毒はあの「小人地獄」だった!
登場人物
・藤田克人
・藤田鈴花(克人の娘)
・藤田恭子(克人の後妻)
・片桐房江(藤田家の家政婦)
・三橋壮一郎
・山中冬美(三橋の後輩)
・瀬川みゆき(三橋の友人・名探偵)
第一部の「小人地獄事件」から二年後
冒頭でいきなり事件が発生
事件の状況から藤田家の誰かが犯人
物語に一気に引き込まれた
今回は謎が多い
・冬美が殺された動機は?
・誰が「小人地獄」をポットに仕込んだか?
・なぜ「小人地獄」を大量に入れたのか?
三橋は瀬川みゆきに事件解決を依頼する
しかし、第一部程の推理は展開せず
瀬川らしさも少なく違和感が残る
【瀬川の推理1】
怪しい素振りの恭子を疑う
恭子がカップに毒を塗る
→それを防ぐ為に鈴花がポットに毒混入
→しかし無味覚症の冬美が飲んでしまう
→冬美が事故で死亡
【瀬川の推理2】
三橋が鈴花と藤田家を手する為に起こした
鈴花に毒を混入させる
→冬美、毒を飲み死亡
→恭子と口裏を合わせる
→三橋は冬美の無味覚症を知っていた
う~ん(=_=;)
どちらもしっくりこない
三橋が殺人を犯すのは考え難い
藤田家には悪い人はいなさそうだし
藤田家では鈴花が一番怪しく感じた
みんなで何かを隠している
ただ、その違和感は読んでも
分からず推理できなかった
第二部から一人称が三橋じゃなくなり
三橋にはアリバイがあるので
ミステリー的には三橋か犯人と推理し
読み進めたが犯人は違っていた!
様々な推理を展開していた瀬川だったが
終盤で冬美の妹・洋子が偽者だと知る
(洋子の証言は全て嘘だった)
そして、事件の謎を解き明かした
【事件の真相】
ポットに毒を混入させたのは鈴花
理由は事件を起こし瀬川に会う為だった
(鈴花は瀬川に恋をしていた)
冬美の無味覚症は知らず
それが仇となり冬美は死んでしまう
この真相を隠す為に三橋と恭子が
嘘をついて瀬川をミスリードしていた!
瀬川は三橋を情報源にしていたので
推理が二転三転して迷走していた
いくら「小人地獄」が万能な毒とはいえ
ポットに混入は危なすぎる((((゜д゜;))))
危ない事件を起こさずとも
他の方法で瀬川を呼べたのではないか
一歩間違えば大惨事になっていた
(実際に冬美が被害に遭っている)
タイトルの“名探偵に薔薇を”は
鈴花が名探偵(瀬川みゆき)に薔薇を
捧げるということを意味している
薔薇の花言葉は“愛”や“美”がある
表紙は赤い薔薇(花言葉は愛情)なので
「あなた(瀬川みゆき)を愛しています」
というメッセージになる
王道ミステリーの第一部があるから
第二部のストーリーが活きてくる
信実がどんなつらいものであっても
解明せずにはいられない
瀬川の心を削りながらも謎を解く姿
が切なく苦悩も痛いほど伝わった
謎を解くことを恐れる探偵は斬新で
誰でもいいから瀬川を救って欲しい
そして、ラストシーンの展開には驚いた
鈴花は「小人地獄」を飲み自殺してしまう
あまりにも切ない最後だった
今後の三橋と瀬川が気になる
続編書いてくれないかなー
第一部が壮大な伏線になっていて
「小人地獄」に翻弄されたストーリー
本格ミステリー&緻密な構成で
読み応えがある満足な1冊でした!
鈴花が好きなのは三橋だと思っていた
作者に完全に騙されました(=_=;)
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