サラリーマンの読書

読書好きのサラリーマンです オススメの本を紹介しています! 生活に活かせる情報も発信中(^_^)/

タグ:恩田陸

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こんな人にオススメ
・青春物が好き
・一気読みしたい
・心理描写を楽しみたい


あらすじ・内容
舞台は、伝統ある男子校の寮「松籟館」
冬休みを迎え多くが帰省していく中で
事情を抱えた4人の少年が居残りを決めた
ひとけの内古い寮で4人だけの自由で
孤独な生活が始まる
そしてクリスマスイブの晩に始まった
「告白ゲーム」をきっかけに事件が起きる
やがて、それぞれが隠していた「秘密」が
明らかになってゆく
驚きと感動に満ちた7日間を描いた
ほろ苦い青春ミステリー




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ネタバレ・感想
初めてこの本を読んだのは主人公たちと
同年代の時だった
大人になってから改めて読むとタイトル
が深く感じて印象的だった
どこにもないが、主人公たちの心の中に
存在する自分たちだけの場所
それが、主人公たちの「ネバーランド」で
まさに松籟館での7日間の経験だった


・美国
物語の主人公で語り部
父親の不倫相手に誘拐された過去を持ち
その影響で女性に恐怖感を抱く

・寛司
おおらかで面倒見がいい
両親の離婚問題で揺れ動く

・光浩
冷静沈着でクール
義母に強姦された過去を持つ

・統
破天荒で数学の天才
母親が自殺した過去を持つ


告白ゲームから始まった心の闇の暴露
悩みを共有する事で心から相手を理解し
互いに距離を縮めていく
同時に少年の脆さも描かれた青春物語


大人がいない寮という自由な空間
食事の買い出しや遊びやゲーム
4人での食事(未成年での飲酒)
葛藤や悩み、意見の衝突、互いの成長
全てが美しくかけがえのない経験になった


終盤の年賀状のシーンも良かった
統が美国、寛司、光浩それぞれに
買いていたのが統らしくて心が暖まった


今後4人はどうなるのか楽しみになった
美国は元カノに理由をしっかり話して
ヨリを戻すだろう
寛司は人の役に立つ仕事に就くだろう
家族思いのいい父親になりそう
光浩は会社を継いで敏腕振りを発揮する
税金対策で統のラボに出資している
統は世界中を飛び回りラボを広めている
作者には短編でいいから10年後の4人の
再会を描いて欲しい


美国たちみたいな高校生活が出来たら
楽しいだろうし一生の思い出になる
仲間と苦悩を乗り越える物語なので
読後感も爽やかでスッキリした
高校時代に戻りたいと思わせる1冊でした

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こんな人にオススメ
・心理戦が好き
・一気読みしたい
・どんでん返しが好き


あらすじ・内容
舞台はアパートの一室
別々の道を歩む事が決まった男女が
最後の夜を徹して語り合う
初夏の風、木々の匂い、大きな柱時計
そしてあの男の後ろ姿・・・
共有した過去の風景に少しずつ違和感
が混じり始める
濃密な心理戦の果てに、朝日と共に
訪れる信実とは!
不思議な胸騒ぎと開放感が満ちる一冊





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ネタバレ・感想
アパートの一室を舞台にした心理戦
高橋千浩と藤本千明の語り手で展開する
序盤では二人の関係性は分からず
おそらく恋人同士と想像しなが読み進めた


注目すべき点はお互いに相手が
殺人事件の犯人と思っている事!
その確信を得る為に心理戦を繰り広げる
犯人はどちらかなのか?事故なのか?
二人の関係は何なのか?
先の展開が気になり一気読み


読み進めと二人の関係は双子だった
(3歳まで一緒に暮らしていたが
経済的な理由で別れて生活していた)
そして、偶然大学で出会い、惹かれ合い
兄妹と分かった後に同棲を開始する


いくら血が繋がっている兄妹とはいえ
ずっと別々に暮らしていた者同士が
同棲するのは危ない感じが・・・
もちろん千明の彼氏は嫉妬します


心理戦の原因になるのは1年前の登山
偶然にも父親が二人の山岳ガイド担当に
(ほとんど合っていないので二人の事
を自分の子供だと分かっていない)

三人で登山するが、別行動していた
休憩中に父親が崖から落ち死亡
千浩と千明はお互いに相手が殺人犯と推測
二人の駆け引きや考察は面白かった


心理戦や繰り広げ、考察を続けていくと
幼い頃の二人の記憶に違和感が生じる
それは母の実家の大時計の記憶

・千浩はしっかり覚えている
・千明は全く覚えていない

大時計はかなり目立っていて
その記憶が無いのは明らかにおかしい
この違和感から千明は隠されていた信実を
発見し驚愕します・・・




千明は千明では無く
なんと、美雪だったΣ( ̄□ ̄)!?




美雪→母の妹の子
千明→母の子

本当の千明は幼い頃に事故で死んでいた
千明を養子に出す事が決まっていたが

不運な事故により出来なくなってしまう
母の妹も経済的に苦しかったので
美雪を千明の身代わりにしていた!!
千浩と千明(美雪)は一緒に暮らして
無かったため千明(美雪)には大時計の
記憶が無かった


と言うことは、千浩と千明(美雪)は
いとこ同士だった


双子だからと、お互いに惹かれながらも
好きになってはいけないと考えていた
禁断の愛では無くなっていた
そして、逆に二人は冷めてしまいす


父をどちらが殺したかのミステリーは
どうでもよく(真相は本作では分からない)
いつの間にか二人の恋愛が焦点になる


ラストシーン千明は相手は恋人の雄二
に電話をかけ、千浩に見切りを付ける
(ナイフを埋めた事からも分かる)


本作も恩田陸ワールド全開で
不思議な世界観を体験されてくれます
ミステリー、恋愛、どんでん返し
一気読み必至で満足な1冊でした!

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こんな人にオススメ
・不思議な話が好き
・色々な謎を解きたい
・騙されたい




あらすじ・内容
『月の裏側』の塚崎多聞、再登場!
旅をテーマにした不思議で怖い話

音楽ディレクターの多聞の妻はフランス
に突然里帰りし、音信不通状態に
多聞は妻の実感を訪ねるも連絡がとれない
多聞は途方に暮れ、別居生活をおくる
そこに、3人の友人が多聞を旅行に誘う
4人はそれぞれ怖い話を披露するが・・・

ー俺さ、お前の奥さんは、
ーもうこの世にいないと思う
ーお前が殺したから
(「夜明けのガスパール」)

 


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ネタバレ・感想
旅行をテーマにした5つの短編集
ストーリーには不思議な世界観があった



・木守り男
大学の先輩 田代が言った「コモリオトコ」
多聞は川沿いを散歩している時に
ケヤキの茂みにしがみついている
痩せた骸骨のような男を目撃する


また、ベビーカーを押す「子守り男」
も出てくる
赤ちゃんの風車の色は謎だが
多聞が考えるように何かのメッセージか?


おそらく未来を予測する何らかメッセージ
田代はそのメッセージを理解している
70年代ハウスに謎を解く鍵がありそう



・悪魔を憐れむ歌
「聞くと死んでしまう音楽」
誰かが勝手につけた名、セイレン
セイレンを探しに奈良に向かう多聞

面白いが怖い
世にも奇妙な物語のような感じ
山が鳴るのは聞きたくない



・幻影キネマ
自社のミュージシャンの里帰り話
舞台は広島の尾道
どこか浮かない顔をしている保
彼が帰省し、映画の撮影を見学すると、
誰かが死ぬという話
死んだ3人には腕や足に切り傷があった

映画の撮影見学→人が死ぬ
と保は無意識に行動してした
(傷は保がつけている)

多聞が止めなかったらもう1人犠牲者が
出ていたかもしれない
保自身は事件を起こしている自覚は無く
読んで思い込みは怖いと思った

あと、尾道ラーメンが美味しそう
映画のロケ巡りしてラーメン食べたい



・砂丘ピクニック
翻訳家の楠巴と消える砂丘の謎を解く話
砂丘は消える訳がないので
夢見を見ていたか目の錯覚と予想
多聞らも月夜に砂丘を見下ろした為
窪地に見えたのではないかと想像する

また、美術館の人が消えた謎もあり
美術館に入った人が出てこない!?
ハンカチのリバーシブルがヒントで
男がジャケットを裏返して着たトリック
なぜ、多聞たちに気付かせたのか?
そして、翌日美術館は突然の休館
美術館で何があったか知りたい



・夜明けのガスパール
多聞と友人3人が夜行列車で会談話をし
さぬきうどんを食べる旅に行く話
多聞の回りでは不思議な事がよく起こる
多聞は客観的に物事を捉える冷静な男

会談話では
「元カノの子供に幽霊が遭いにくる」
「手術で腹を開いたら大量の髪の毛が」
みんなの話が気味が悪く怖い

今まで通り多聞が解決していく!
と思いきや最後は多聞自身の話

多聞は失踪した妻から送られてくる写真
の話をするが・・・
それは多聞自身が送付していた!

多聞は実父が死んだショックから
妻が失踪した妄想を抱いていた
その事を気付かせる為の旅行だった
友人の優しさに心暖まる話だった
最後に多聞に焦点があたる驚きの展開
不気味さありミステリーありで
楽しくサクサク読めました 


多聞シリーズのには『月の裏側』もあり
そっちも読みたくなりました


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