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こんな人にオススメ
・騙されたい
・一気読みしたい
・どんでん返しが好き



あらすじ・内容
永遠の愛をつかみたいと男は願った──
東京の繁華街で次々と猟奇的殺人を重ねる
サイコ・キラーが出現した
犯人の名前は蒲生稔!
くり返さる凌辱の果ての惨殺
冒頭から身も凍るラストシーンまで
おそるべき殺人者の行動と魂の軌跡を
たどり、とらえようのない悪夢と闇を
鮮烈無比に抉る衝撃のホラー


    


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ネタバレ・感想
有名なミステリー小説だというのは
知っていたが評判通りの凄い作品だった
完全にミスリードされてしまった( 。゚Д゚。)


プロローグで犯人は逮捕されてるし
名前まで蒲生稔と明らかになってる
6件の殺人と1件の未遂がある殺人犯
という事までしっかり書かれている
ここまで分かっているのに
「最後ですべてがひっくり返る」とは
どういう事なのだろうと読み進めた


・息子を犯人と疑う雅子
・猟奇的殺人犯の蒲生稔
・被害者と親交があった元刑事の樋口

3人の視点が変わりながら物語は展開する
それぞれ月日が書かれていたので
時系列が分かりやすくてよかった
グロテスクなシーンが多くて稔の異常性
やサイコパスぶりが際立っていた


終盤かおるは稔との接触に成功する
ホテルには誘導できたが助けがこない
このシーンは本当にハラハラした
そして、ここからがどんでん返しになる
樋口がホテルの部屋に入るとかおるは
生きていた
部屋には刺された男性が倒れていた
この男性が蒲生稔かと思いきや・・・
そうではなく別人だった


あれ?誰だ?何かおかしい
雅子は息子だと言っているし
このシーンには混乱してしまう
稔は逃亡して生きてるし(・_・?)



雅子はその後、樋口と一緒にパトカー
で自宅まで帰る
すると、自宅に入った雅子から悲鳴が!
樋口と警官が目にしたのは全裸の男女で
男は、至福の表情で死体と交わっていた
そして、雅子の一言で全てがひっくり返る


「ああ、ああ、何てことなの!
あなた!お義母さまに何てことを!」


つまり、犯人は雅子の夫である蒲生稔
「稔=雅子の息子」という先入観にやられた

蒲生家(5人家族)
蒲生稔・・43歳、大学講師
雅子・・・稔の妻
容子・・・稔の母
伸一・・・稔の息子
愛・・・・稔の娘


稔と雅子が夫婦とは思わなかった
稔は大学に行ってるし、休講もあるし
大学で生徒をナンパしてるし
完全に大学生だと思っていた
稔がゲームセンターで「おじさん」と
言われた時の違和感が解消された


また、4人家族と思い込んでいた
よく読めば序盤に雅子視点の時に
「彼がもともと両親が住んでいた一軒家
も5年前に義父が他界してからは夫名義
になっている」
としっかり書かれていた
義母と同居している事は匂わせている


息子の伸一の存在も雅子が「あの子」と
呼んでいて巧妙に隠しているのも見事
(容子は稔の事を稔さんと呼んでいる)


息子の部屋から黒いゴミ袋が出てきたのは
伸一が稔を疑い花壇で見つけたもの
それを雅子が見つけているので
雅子の息子が犯人だと思わせる上手い
ミスリードになっている
(稔視点で花壇のゴミ袋はなくなっている)
息子が犯行時に家にいないのも父(稔)を
疑い、父の後を追っていたから
それによって雅子は息子に疑いを持つ

全てがわかった上で読み返しても
物語に矛盾は無く本当に上手い
緻密に作り込まれた作品だった
最高の叙述ミステリーでした!

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