サラリーマンの読書

読書好きのサラリーマンです オススメの本を紹介しています! 生活に活かせる情報も発信中(^_^)/

タグ:湊かなえ

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こんな人にオススメ
・一気読みしたい
・ミステリーが好き
・心理描写を楽しみたい



あらすじ・内容
女子高生が自宅の中庭で倒れている
のが発見された
母親は心を詰まらせる
「愛能う限り、大切に育ててきた娘
がこんなことになるなんて」
これは事故か、自殺なのか?
遡ること11年前の台風の日に
彼女たちを包んでいた幸福は
突如奪い去られていた
母の手記と娘の回想が交錯し
浮かび上がる真相
これは事件か、それとも──。
「母と娘」を巡るミステリー




    




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ネタバレ・感想
いつまでも「娘」でいたい母・ルミ子
その母から愛されたい娘・清佳
母親の愛情を求めている点は同じだが
この親子はいつもすれ違ってしまう
読んでいて苦しくてつらかった
それでも先の展開が気になってしまい
ページをめくる手が止まらず一気読み
流石、「これが書けたら作家を辞めても
いい」と作者が思う程の物語だった


母の手記と娘の回想が一人称で描かれ
ルミ子と清佳の視点を通しての物語が
違い過ぎて本当の現実が分からない
母と娘の証言で物語は逆転してしまう
これがこの作品の最大のミステリー!
ハッキリと真相は描かれていないので
真相は読者の想像にゆだねられる


普通に解釈すれば母の手記は嘘で
(ルミ子本人は嘘だとは思っていない)
娘の回想が事実に近いと考えられる
しかし、ルミ子が娘を抱きしめる為に
手を差し伸べるシーンは違和感が凄い
娘の回想ではルミ子から首を締められ
そうになっているという記憶( ´゚д゚)
これは娘の記憶も信用できない
(清佳本人も嘘だとは思っていない)
田所の視点が加われは客観的に物語を
見ることができた思うが、作中では
描かれないので真実は分からない


この物語で一番おかしいのはルミ子で
序盤から怪しい雰囲気があった
「母に喜んでもらうため」
田所と付き合い、結婚までする
価値観の基準が母親がどう思うかで
娘の清佳に対してでさえ自分自身の考え
ではなく母親に喜んでもらうかが全て
自主性やしっかりとした判断能力が無い
その為、清佳が産まれても“母性”ある
母親にはなれなかった


浮気していた田所は戻ってくるし
(都合が良すぎでグズ過ぎる)
ルミ子は義母から一番信頼されるし
清佳と律子は仲良くしてる様子だし
清佳は妊娠してお腹に子供がいるし
湊かなえ作品にしてはイヤミ度は低い
ラストで「清佳!」と名前を読んだ姿から
今後の母娘関係に希望が持てて良かった


2022年11月23日に映画公開
戸田恵梨香(ルミ子)
永野芽郁(清佳) 

どんな感じで映像化するか気になる
戸田恵梨香のルミ子の演技に中盤したい
でも二人が親子は無理があるな(^_^;)

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こんな人にオススメ
・イヤミスを読みたい
・心理描写を楽しみたい
・ドロドロした話が好き


あらすじ・内容
太平洋を望む美しい景観の港町・鼻崎町
その町で生まれた久美香は幼稚園の時に交通事故に遭い、車椅子生活を送っている
一方、陶芸家のすみれは久美香を広告塔に
車椅子利用者を支援するブランドの
立ち上げを思いつき行動を起こす
出だしは上々だったが、ある噂がネット上
に流れ、徐々に歯車が狂い始めていく
緊迫の心理ミステリー





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ネタバレ・感想
閉鎖的な田舎町でのドロドロな物語
菜々子、すみれ、光稀の3人の心理が
リアルに描かれていて面白かった
 

菜々子
・久美香の足の完治を願う
・地元から出たい願望有り

すみれ
・自意識が高く行動力がある
・陶芸家として成功したい

光稀
・東京への憧れを抱く
・夫との不仲を悩む転勤族


この3人の視点で描かれている
それぞれ現状に不満を持っていて
本当の自分の居場所(ユートピア)を
模索しながら生活している


田舎町ならではの閉塞感に加え
情報は筒抜けで嫌な話も耳に入る
表面的には良い顔をしつつも
本当は悪く思っている場面もあり
人間の嫌な部分が浮き彫りになっていた
湊かなえ作品は読むのが嫌になるが
先が気になる展開の連続で面白い
終盤の菜々子の回想シーンは怖かった

「ユートピアを求める人は
自分の不運を土地のせいにして
ここではないどこかを探しているだけだ
永遠にさまよい続けていればいい」

すみれや光稀をバカにしていたが
地元住民の菜々子が誰よりも
ユートピアに焦がれていた
また、義母が残した金は1枚ではなく
3枚あり2枚を隠し持っていた
将来、この金と共に地元出ようと
決意して心が晴れていた様子だった
したたかな菜々子に驚いた


これで終わりかと思ったが
ラストの彩也子の日記で更に驚愕する


・久美香は実は歩けていた!
・火事の原因は彩也子の火遊びだった


この事実で物語は一変する
「クララの翼」活動は善意から始まったが
久美香からしたら迷惑な活動だった
菜々子の夫婦関係の為に歩ける事を
隠していた久美香が可哀想だった
また、子供たちの観察力は高かった
彩也子が思うように菜々子、すみれ、光稀
の3人は二度と集まる事はないだろ


健吾の失踪の謎は回収されずモヤモヤ
結局、犯人は健吾だったのか?
警察への証言の手紙は事実なのか?
真相は作中では分からない
登場人物に感情移入できなかったが
湊かなえワールド全開で面白かった

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こんな人にオススメ
・学園モノが好き
・色々な視点で読み進めたい
・入試を経験した事がある人


あらすじ・内容
県下有数の公立進学校・橘第一高校
入試前日に新人教師・春山杏子は教室の
黒板に「入試をぶっつぶす!」と書かれた
張り紙を見つける
迎えた入試当日、試験内容がネット掲示板
に次々と実況されていく
遅れる学校の対応、保護者の糾弾
杏子たち職員は事件解明に奔走するが・・
誰が嘘をついているのか?
入試をめぐる、ミステリー!



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ネタバレ・感想
登場人物が多くて理解するのが難しい
巻頭に人物相関図があってよかった


舞台は県下有数の公立進学校
地域社会における高校のブランド化
受かれば地域社会では一目置かれる


学校側の視点からの入試は新鮮だった
受験生以上にミスが許されない
そんな中、「入試をぶっつぶす」と書かれた
張り紙が試験会場で見つかる
いきなり物語に引き込まれた


入試当日はトラブル続出
・試験中に携帯が鳴る
・カンニング疑惑
・1枚足りない答案用紙
・同じ受験番号の答案用紙
・ネット掲示板での実況

ネットの書き込みから内部犯行説が浮上
教師たちは犯人捜しを始める
そんな中、衣里奈が校内に潜んでいる
のが見つかり事情聴取をする事になる
実況の犯人は衣里奈だったが首謀者では
ない事が判明する

ここまで読んでも協力者が分からない
教師の中に必ずいるハズなのに
英語の答案用紙で問題が発生したので


怪しいのは試験会場2の担当
・杏子
・水野
・村井

採点英語科チーム
・坂本
・小西
宮下
・杏子
・相田

両方に関わっている杏子が怪しいが
動機が分からない
わざわざ大手旅行会社を辞めてまで
教師になっているし何かあるのだろう
(動機は交際していた教師が原因と分かる)


読み進めると
協力者は杏子と荻野だった
入試部長だった荻野なら黒板の張り紙や
注意事項を去年のものにする事も可能

萩原の動機は復讐計画への協力
・田辺光一の変わり果てた姿を見た
・萩原が入試の試験担当だった
・自分を肯定する書き込みをしていた


荻野や寺島は優れた教師だが人間的に
弱い部分があった
現実社会でもいい人よりも“問題がある人” の方が自己中に自由に生きている
坂本みたいに自分のミスを棚に上げたり
自虐風自慢をしたし、ワガママを言ったり
ミスを人のせいにしり、言い訳をしたり
真面目に頑張っている人が報われる
社会になって欲しい


結局、携帯がなった77番柴田麻美
カンニング疑惑の55番沢村哲也は合格
携帯を回収時に出さなかった麻美の
合格には納得がいかないなー

ただ、掲示板を見たものからすれば
誰が問題の受験者か分かってしまう
そんなダークな部分も残しているのが
湊かなえの魅力のひとつ
今回はイヤミス度が低めの作品でした
未来に希望が残る終わり方で良かった
杏子はこれから教師になるなろう

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こんな人にオススメ
・絵本が好き
・一気読みしたい
・深い絆がある話が好き



あらすじ・内容
政治家の妻である陽子が描いた絵本
『あおぞらリボン』がベストセラーになる
新聞記者の晴美とは親友同士で
共に幼い頃に親に捨てられ児童養護施設で
育った過去を持っていた
ある日、陽子の息子が誘拐され
「息子を返して欲しければ、真実を公表しろ」
という脅迫状が届く
「真実」とは一体何か?そして犯人は・・・
一気読み必至のミステリー! 




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ネタバレ・感想
湊かなえにしてはあっさりしていて
登場人物もいい人が多かった
他の作品と比べて毒が少い感じで
話もキレイにまとまっている


息子を誘拐した犯人は状況から考えると
顔見知りの晴美か亜紀しかいない
読み進めると殺人事件の被害者遺族
である晴美だと予想できた


終盤に朝日学園でのシーン
陽子と晴美が涙を流すところは感動した
過去に児童養護施設で育った同じ境遇
同じくだからこそ、共感し嫉妬もし
二人の間には強い絆があった!


ただ、話はそこで終わらない
陽子と晴美に元に政紀と岩崎に
連れられた下田弥生が登場する
そこで下田弥生が言ったことは



「私の娘は陽子さんじゃない。
  晴美さん、あなたよ」



被害者遺族→陽子
加害者遺族→晴美

最後で陽子と晴美の立場が逆転する
それでも陽子は晴美を受け入れて
陽子と晴美は強く抱きしめ合い、別れる

ラストシーンの親子三人で手を繋ぐ描写
門柱に結ばれ、柔らかく輝く青いリボン
どちらも美しく思えた

境遇というものが人生に与える影響、
そして人と人との絆の深さを実感した
巻末の絵本も可愛くて良かった


少し深読みすれば、
陽子は晴美が誘拐犯と知っていた可能性
(息子が誘拐されたのに落ち着き過ぎていた)
どちらにせよ陽子はいい人だった
推理、感動、絵本と満足な1冊でした

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こんな人にオススメ
・イヤミスを読みたい
・色んな立場から物語を見たい
・どんでん返しが好き


あらすじ・内容
空気がキレイな穏やかな田舎町で起きた、
憎たらしい、美少女殺人事件
犯人と思われる男の顔を思い出せない
少女4人達に投げつけられた激情の言葉が
彼女たちの運命を大きく狂わせる
これで、私の罪は償えたのか?
「罪」と「贖罪」の意味を問うミステリー!


 


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ネタバレ・感想
湊かなえ作品は嫌な気持ちになるが、
何故か読むのやめられない
複雑に絡み合ったストーリーを紐解き
期待通りに着地させる技量は流石
「告白」同様に少しずつ真実が明らかに


娘のエミリを殺された麻子
麻子の言葉が少女たちを狂わせていく
人殺しと言った事が皮肉にも現実になる
少女たちは罪の意識を心に持ち
贖罪を果たしていく


麻子の過去の行動が負の連鎖のはじまり
その連鎖がどんどん広がっていく


麻子の身勝手な言動
愛する人を失い人生が狂った犯人(南條)
麻子に対する復讐の為、殺人を犯す
巻き込まれた少女たちも犯罪を犯す
悲劇の連鎖になる


徐々に明らかになる事件の真相
娘が殺された原因が自分だと気づく
罪を償なければならない人物は麻子だった

南條に結婚する前に妊娠していた事
それが南條との子供である事を伝える
小説ではその後の事は描かれていないが
最終章の麻子の手紙に「そのあと彼が
どうなったかは、あなたたちも知って
いることと思います」とあるので
自殺か自首か何らかの行動を取っている
(ドラマ化もされ、ドラマでは自殺)

 
物語の最後での真紀と由佳の会話に
未来への希望が見えたのはよかった
人は知らず知らずに人を傷つける生き物
自分にとっては何気ない一言が
相手を傷つける事になる場合もある
考えさせられる作品でした


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