
こんな人にオススメ
・騙されたい
・叙述トリックが好き
・伏線をしっかり回収したい
あらすじ・内容
夏の終わり、郊外の洋館に将来を約束された
青年たちと美貌の娘たちが集まった
ロートレックの作品に彩られており
優雅な数日間のバカンスが始まるが・・
二発の銃声が悲劇の始まりを告げる
一人また一人と美女が殺される
邸内の犯行か?アリバイは?動機は?
トリックが読者を迷宮へと誘うミステリー!

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ネタバレ・感想
まず、1章と2章を読んで違和感があった
1章の「おれ」→重樹の従兄弟
2章の「おれ」→重樹
1章と2章で一人称の「おれ」が違う
少し引っかかるが、1章の「おれ」は
工藤忠明と解釈して読み進めた
ロートレック荘に着いて
金造と対面するシーンでのセリフ
「坊ちゃま。重樹さま。
お久しぶりでございます。」
他、部屋の見取図でも工藤と浜口重樹
とあったので「おれ」の解釈を確信する
しかし、これもミスリードだった!
登場人物と設定が面白い
花嫁候補の3人の美女
複雑な男女関係と不可解な動機
序盤から物語に引き込まれる
洋館で美女たちが殺されていく
最初の寛子殺害時のアリバイと娘を
殺されてた親達を除くと犯人は
・工藤忠明
・馬場金造
寛子が殺された時の工藤の様子から
工藤が殺したのはとは考えにくい
消去法で馬場金造が犯人と予想した
結論はというと
浜口重樹が犯人だった!
部屋の見取図の浜口重樹の表記は
・浜口(修)
・(浜口)重樹
1人ではなく2人だった!
49ページの部屋の見取図をよく見ると
浜口重樹は広い部屋(2人で使用する為)
絶妙過ぎて驚きました
物語の一人称「おれ」も2人が描かれ
章によっては「重樹」だったり「修」になる
犯行時の語りは「修」であり「重樹」には
アリバイがあり犯人ではないと
ミスリードする仕組みになっている
「修」を徹底的に隠蔽する事
前編一人称で描かれている事
二重のトリックになっている
完全に騙されました(笑)
「おれ」は「浜口重樹」
・画家で体が小さい
・3人の花嫁候補の美女に愛されている
と思い込んでいた
実際の「おれ」は2人いて
典子からから好意を持たれていて
美術評論をするエッセニストの浜口重樹
寛子と絵里から好意を持たれていて
売れっ子画家の浜口修だった
1章の語り手の「おれ」は8歳の浜口修
名前が出ないので工藤忠明と読ま背
序盤から読者を騙しにきていた
違和感は感じていたのに悔しい(>_<)
1章と2章の語り手が違うのは
作者くれたヒントだったのに・・
2人の人物の視点を1人の視点に
見せかける手法は見事だった
張り巡らされた伏線もギリギリを攻めて
いて良かったです
読み返しても大きな破綻も無く
叙述ミステリーを楽しめました
ラストでは典子が自分の事を想っていた
事を知り、重樹は苦しみ絶望する
苦みを残す読後感はさすが筒井康隆
しっかり叙述トリックに騙されました!

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