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こんな人にオススメ
・ハラハラしたい
・ミステリーが好き
・心理描写を楽しみたい



あらすじ・内容
犯行時刻の記憶を失った死刑囚
冤罪を晴らすべく、刑務官・南郷は
前科を背負った青年・三上と共に
調査を始める
だが手がかりは死刑囚の脳裏に残った
「階段」の記憶のみだった
処刑までに残された時間はわずか
2人は無実の男の命を救うことが
できるのか?
第47回江戸川乱歩賞受賞作


    



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ネタバレ・感想
とにかく臨場感があって面白い
展開が気になり一気読みだった


樹原の冤罪を晴らす為に元刑務官の
南郷と仮釈放中の三上が奮闘する
手がかりは階段の記憶だけ
徐々に真相に迫る2人から目が離せない


依頼者は不明だったが報酬が高額だった
ので事業で成功していて樹原の元雇い主
であるオーナーの安藤だと思っていたが

 

何と・・・







依頼主は佐村光男(佐村恭介の父)だった
樹原を冤罪から救うのが目的ではなく
息子を殺した三上を宇津木夫妻殺しの
真犯人に仕立て死刑しようとしていた!
高額な報酬は三上家からの賠償金を
元手にしていた


また、宇津木は保護司だからいい人
というイメージからミスリードされた
前科者を脅して金銭を要求してたし
正直、自業自得だと思う
安藤も脅されていたとはいえ樹原に罪を
被せるのは良くない
巻き込まれた樹原は可哀想だった


手に汗握る展開の連続でハラハラした
死刑制度や刑務官の苦悩について
考えさせられた
裁かれる側、死刑執行する側両方の
苦悩や葛藤など様々な思いが描かれ
胸が苦しくなった


南郷は安藤を殺さないでほしかった
殺意の証明は難しいし、殺されるかも
しれない究極の場面での人間の感情
など誰にも分からない
正当防衛でよさそうな気がするが……
出所後はサウス・ウィンド・ベーカリー
を実現させて欲しい
あと、南郷の双子の兄の登場は笑った
お兄ちゃんナイス(o^ O^)シ彡☆
検察官の中森もいい人だった
中森と南郷の“友人としての会話”
には胸が熱くなった


被害者が加害者へ加害者が被害者へ
誰もがどちらにもなもなり得る
この危うさや冤罪の怖さを思い知った
‌犯罪を犯すのも人、裁くのも人
死刑制度の問題点はあると思うが
被害者遺族の立場で考えると
簡単に死刑を無くすのは難しい


作中にあった改悛の情の仕組は
曖昧で不公平に思えた
同じ罪を犯しても反省しているかの
有無で刑の重さが変わるのはおかしい
本当に反省しているかどうかなんて
裁判官に分かるものだろうか?
人を裁く曖昧さや危うさを感じた


終盤まで宇津木夫妻殺しの真犯人が
分からず誰もが怪しく思えた
重いテーマでやるせなさはあったが
伏線の回収と怒涛の展開は見事だった
南郷と三上のコンビも良かった
読み応えがあり満足な1冊でした!

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